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岩永健一(いわながけんいち)
経済学部 4回生
Venture Business Community(VBC)所属
長濱 弘
立命館大学の学生と滋賀県内の企業との産学連携プロジェクトから生まれた洋菓子「はなし、はずむ」が4月20日に発売された。
この商品は、立命館大学の学生ベンチャー支援団体・Venture Business Community(VBC)のメンバーである、
岩永健一さん(経済学部4回生)、岡本淳子さん(経営学部3回生)、右近倫太郎さん(経営学部3回生)らが中心となり、
茶製造販売の株式会社千紀園(本社・草津市)と洋菓子の製造・販売の株式会社パレット(本社・大津市)と共同で開発を手がけた。
今回は、この商品開発の中心人物である、岩永健一さんにお話を伺った。
Q

今回 開発された近江茶を使用した洋菓子、だっくわーず「はなし、はずむ」は、4月から滋賀や京都のお店で2000個限定で販売されているそうですが、どのようにしてこの商品が生まれたのですか。

岩永

私達が所属しているVBCでは、以前にも企業と合同で、「八つ橋クランチ」というお菓子を開発したことがありました。今回は、その実績に千紀園の方が注目して下さり、「学生らしい発想で滋賀のお茶をアピールしてみないか」と声をかけていただいたことがきっかけです。私自身も以前から、滋賀県にもたくさん良いものはあるのに、それがうまく発信されていないことをもったいないと感じていました。そのため、話を頂いてから、「滋賀県いいもの発信プロジェクト」というプロジェクトを立ち上げ、昨年の2月から本格的に動き始めました。

最初は、どのような商品にするかをメンバーと考え、お茶のイメージから、「くつろぐ」「ほっとする」というキーワードが出たので、それらをベースに商品の構想を練りました。その後何度も議論を重ね、「大切な人へ身体に良くて、おいしいものを」をテーマに、中でも「母親の笑顔」を大きなコンセプトに据え、企業の方との長期間に及ぶやり取りの末、商品が生まれました。この商品のターゲットは母親世代。商品を通じて、お母さん方に、お子さんからのやさしさや思いやりを感じていただけることを目指しています。

実際に商品が完成し、お店に足を運び、「はなし、はずむ」を買い求めて下さる方々を見た時は、本当に最後までこのプロジェクトを続けて良かったと心から思えました。商品を笑顔で見ておられる方を目にすると、最高に嬉しい気持ちになりますね。一方で、消費者の方から自分が気づかなかったご意見を頂くこともあります。消費者の方からの貴重な意見は、今後の参考になり、とても勉強になります。

Q

企画立案から販売まで1年以上もの長期間に及んだわけですが、様々な苦労をされたと思います。その中で、特に苦労された点を教えていただけますか。

岩永

特に苦労したところは、コスト感覚です。商品を作る以上は、利益を出さなければいけません。そのためには、コスト面にも敏感である必要があります。いくらおもしろい商品を思いついても、お客様の手に届くまでに多くのコストがかかり、一個の商品に対する利益が少なすぎれば会社として成り立ちません。逆に、安く作れても商品自体にしっかりした魅力がなければそれも問題です。しかも私達学生は、普段からコストについて考える機会が少ないうえ、経験も乏しいため、なかなかそこまで頭が回りませんでした。先方に商品案を持って行っても、「おもしろい」とは言われても、コストの問題から、それを実際に商品にしようというところまではなかなかたどりつけませんでした。そのため、考え抜いた案がことごとく不採用にされることも多く、精神的につらい時もありました。しかし、なんとしても商品にしたいという気持ちが強く、全員で、最後までやりきりたいと思っていました。

このように商品化は達成しましたが、私の学生生活が全て順風満帆だったわけではありません。実はVBCに入る前に他の部活を退部した経験があり、このままでは「社会に出たときに自分は何も出来ないのではないか」という危機感を覚えました。そんな中、「何か社会的に意義のあることに挑戦してみたい」という思いが芽生え、VBCと出会い、商品開発という機会を与えていただきました。その経験から今回は、どれだけつらくても、決して逃げるようなことはしたくありませんでした。そして結果的にその意志が大きな原動力となって、仲間と必死に商品を作り続けることができたと思います。このプロジェクトを通じて、どんな困難も乗り越え、1つのことをやり遂げる大切さを改めて知りました。

今回のプロジェクトを良い形で終えることができたら、今後も「滋賀県いいもの発信プロジェクト」の第2弾、第3弾と継続していきたいですね。そして、後輩達に良い環境を残していけたらと思っています。

取材・文林 祐太(経済学部3回生)
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