この論文は自分自身の経験に基づいて作成しました。私は3歳から12歳までイギリスに住んでいたのですが、中学校に入るときに日本に帰国しました。日本に帰国するまでずっと「自分はイギリス人だ」と思っていたので、帰国した時は大きなカルチャーショックを受け、日本の生活に馴染めず辛い思いをしました。
「自分のアイデンティティーは何なのか?」という壁に、帰国子女は多かれ少なかれぶつかる時があると思います。2つの文化を持つことを多くの人は羨やみますが、当事者にとってはそのバランスを保つことが難しかったり、どちらかの文化を嫌いになってしまうこともしばしばあります。私自身、「日本とイギリスの2つの文化を持つことが自分のアイデンティティーだ」ということに気づくのには時間がかかりました。子どもがすごく好きということもあり、将来の夢は「帰国子女の子どもたちに、2つの文化を持つことに自信と誇りを持ってもらえるよう手助けをするカウンセラー」になることです。その想いをこの論文につづりました。
20年後の自分を考えるにあたって、自分の過去の経験を振り返ったことで将来の夢を明確にすることができました。その点でこの論文コンテストは将来を考える良いきっかけになりました。また、日本に帰国して数年経っているので、自分の英語力が低下していないかも不安だったのですが、独力で書いた論文が認められ自信がつきましたね。そして授賞式の場で審査員から「イントロダクションで非常に引き込まれた」との評価をいただけたのも嬉しかったです。 |