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石井規雄(いしい・のりお)
経営学部3回生
丹後村おこし開発チーム代表
石井規雄
経営学部プロジェクト団体・丹後村おこし開発チームが8月4日に京都府知事から感謝状を贈呈された。
京都府宮津市上世屋地区の地域活性化・里山文化の伝承・笹葺き民家再生とその運営に対する取り組みが評価されてのこと。
今回の丹後天橋立大江山国定公園新規指定・若狭湾国定公園拡大記念式典では、
自然・環境保護に取り組む約30の団体が表彰されたが、唯一の学生団体であった。
今回は、その丹後村おこし開発チームの代表を務める石井規雄さん(経営学部3回生)に、
表彰された経緯やこの活動の魅力などについてお話を伺った。
Q

どのような活動が今回の京都府からの感謝状贈呈につながったと思いますか?

石井

丹後村おこし開発チームは、もともと「丹後地方に多く見られた笹葺きの古民家を再生、活用してみないか」という依頼を地元のNPO法人から受けたのがきっかけで、2004年に発足した経営学部のプロジェクト団体です。今回感謝状を頂けたのは、笹葺きに使用するための笹刈りが自然保護・里山保全につながり、それが国定公園の新規指定につながったと評価していただけたのだと思います。発足してから4年間、地元のNPOや地域の方々、企業などと協力して活動してきたからこそ、草刈りや笹刈りなどの地道な作業を粘り強く続けてくることができたのだと思います。今回の結果は、様々な人の協力のおかげであると強く感じ、感謝しています。

発足当時はたった6名のメンバーで、ひたすら古民家周辺の掃除と草刈りをすることからのスタートでした。現在では他大学の学生も含めメンバーは55人まで増えました。春から夏にかけては古民家周辺の草刈り、秋は笹刈りと笹葺き屋根の葺き替え作業、冬は古民家を雪から守るための雪囲い、と笹葺き屋根の完成に向けて、地道な修復作業に取り組んでいます。また、同時に丹後地域の人々と都市住民との交流、さらに世代間の交流を深めるための企画も計画しています。最近では、9月1日と2日に「世屋高原里山音楽祭」を地域の人たちと一緒に企画、実行しました。このイベントでは、プロのミュージシャンや立命館大学の3つの学生バンドがライブ演奏を行い、地域の人々と生の音楽を通じて楽しく交流できたと思います。

Q

人数の多い組織の運営や地道な作業を続けることは大変なことだと思います。それでもこの活動を続けようと思える、魅力は何でしょうか?

石井

草刈りや笹刈りをするのは肉体的に大変です。2004年には丹後地方が台風の被害にあってしまったり、笹葺きに必要な量の笹刈りができなかったりと、苦労もたくさんありました。

しかし、チームを設立した先輩方がそうした苦労を乗り越えてきたからこそ、ようやく古民家の笹葺き屋根が完成しそうなところまでこれました。これも、人と人との助け合いがあったからこそできたことだと言えます。従来、丹後地方では、笹葺き屋根の葺き替えは地域の人々が協力して行い、その作業を通じて地域の団結力を深めてきた経緯があります。地元の人たちは、それを「合力(こうりょく)」と呼んでいて、私たちの活動では「継続」とこの「合力」を非常に大切にしています。「継続」と「合力」を通して得られる達成感や一体感など、お金にはかえられない特別な価値が、最大の魅力であると思います。そして、何よりもこのチームと丹後が好きだから、ここまで活動が続けてこれたのだと思います。

Q

では、今後の目標や抱負をお願いします。

石井

今年の最大の目標は、古民家の屋根の全面葺き替えを行って、笹葺き屋根を完成させることです。笹葺きの葺き替えには約3000束、重さにして約10トンの笹が必要になります。そのために9月末から12月まで毎週末、丹後へ行き、辛いときも苦しいときも、チームの誰にも負けない熱い気持ちで活動に取り組んでいきたいと思います。そして、来年からはその古民家の内装にも取り組みたいですね。古民家を修復した後は、地域の食材を使った農村カフェや宿泊施設などとして利用したり、そこを拠点として、先日行った音楽祭のようなイベントも展開していく予定です。そのようにして都市と地方、世代間の交流を深める架け橋となりたいですね。丹後には何か人をひきつけるような魅力があります。在学生の皆さんにも、ぜひ丹後に直接足を運び、雄大な自然やゆっくりと流れる時間を感じながら地域の人々と交流し、「地域活性化」を言葉のうえだけでなく、体感してもらえればと考えています。

[リンク→]丹後村おこし開発チームホームページ

取材・文萩原直也(経営学部3回生)
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