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立命館大学 | Infostudents
村井佑次(むらい・ゆうじ)
経済学部4回生
立命館大学 NORIJI STUDIO メンバー
村井佑次
11月17日(土)〜25日(日)、京都競馬場ターフビジョンにて、立命館大学と同志社大学の学生が制作した競馬のPR映像作品が放映された。
日本中央競馬会(JRA)が企画し、新聞やWEBニュースでも取り上げられたこの試み。
立命館大学では経営学部環境・デザインインスティテュートの佐藤典司教授と学生による「NORIJI STUDIO」が作品制作を担当した。
今回は「NORIJI STUDIO」メンバーとして企画に参加し、作品プランニングをはじめ制作全編に携わった
村井佑次さん(経済学部4回生)に作品に込めた思いを伺った。

[Movie→]作品のムービーはこちらから(WMV形式)
Q

学生と企業によるPR映像作成というのは、とても珍しい取り組みですね。どのような経緯で今回のプロジェクトが発足したのかを教えてください。

村井

日本中央競馬会(JRA)から「今、若者の競馬離れが進んでいる。それを食い止めるために学生の視点で馬の魅力を表現して欲しい」という依頼が立命館大学と同志社大学に寄せられました。立命館大学では、以前広告代理店で働いておられた経験もある経営学部佐藤典司教授がプロジェクトを担当したのがきっかけです。私がこのプロジェクトに参加したのも、佐藤教授からお話をいただいたからでした。私は以前から広告に興味を持っており、その関係で佐藤教授とも交流がありました。そこで佐藤教授のゼミメンバー等が構成する「NORIJI STUDIO」に特別に私も参加させていただくことになったのです。

Q

今回のPR映像のコンセプトやプランニングはどのように決まっていったのですか?

村井

「今までのCMとは違うものを作ろう」という思いが強くありました。既存のものを踏襲しただけでは面白くないと思ったんです。また、学生らしさ・学生の視点を大切にして、自分達の作りたいCMを作れる絶好のチャンスでもありました。ただ、「学生レベルを超えたものを作ろう」という思いは全員が共通して持っていました。

今回私達が焦点をおいたのは、「馬本来の美しさ・内面の美しさ」です。それまでのJRAのCMを見ると、競争馬の力強さに焦点がおかれていると感じました。同志社大学の映像作品もそれに近いものでした。しかし、プロジェクトメンバーの林祐太君、三牧航君、矢部祥平君、中村優一郎君(4人とも「NORIJI STUDIO」の3回生)のマーケティング調査から、「本物の馬の美しさ」を表現する必要性がわかりました。他の作品とは別の切り口を持つためにも、私達は馬と人の交流を描き、そこから人の心を動かす馬そのものの美しさを表現したかったんです。そのような思いをカタチにしようとし、行き着いた作品タイトルは「だから、馬は美しい。」でした。

PR映像の撮影舞台である隠岐ノ島(島根県隠岐郡西ノ島町)は、プロジェクトメンバーの一人、森山勝心さん(佐藤ゼミOB)の提案でした。現地を訪れてみると、豊かな自然が残っていて、放牧されている馬たちの美しさが印象的でした。隠岐ノ島を題材にした映像はこれまであまりなかった点も良かったと思いました。ビジュアル面でも、新鮮味の面でも「ピッタリだ!」と感じました。森山さんには制作の全てにおいてお世話になりました。私より2つ年上なのですが、「自分も2年後にはこれぐらい仕事ができる人でありたい」と思いましたね。

Q

「NORIJI STUDIO」の学生や佐藤ゼミのOBの方と協力し、タイトルや隠岐ノ島での撮影などを決められていったのですね。作品制作の過程で、苦労はありましたか?

村井

撮影前にまずコンテ(映像の設計図)を作るのですが、作ってはやり直しの試行錯誤で約3ヶ月を要しました。この作業が一番苦労しましたね。佐藤ゼミのOBである兄(村井章大さん)にも協力してもらい、本当に苦心の末に何とか出来上がりました。映像の中で3人の子供が出てくることになったのですが、出演に協力してくれた子供達は皆とてもいい子でした。「島の子」役の2人がまた演技が上手いんです!どちらもプロの子役ではなく、隠岐ノ島で普通に暮らす子どもたちです。ちなみに私も作品に出演し、演技をしたんですよ。緊張して演技が出来ないと思っていましたが、意外と自然に出来ました。

撮影現場では、最初に描いていたコンテどおりに映像をつくれず、一部を組み立てなおす苦労もありました。撮影・編集を担当してくださった太田乃輔さん(先端総合学術研究科先端総合学術専攻[一貫制博士課程]5回生)には徹夜で作業に協力していただきました。太田さんをはじめとする編集メンバーの尽力もあって、当初のコンテから少しズレは生じたものの、納得のいく作品に仕上げることが出来ました。

Q

CMを一本作ることには、それほどの時間と労力がかかるのですね。今回のプロジェクトを終えて、どのようなことを学び、感じましたか?

村井

ゼロからのスタートで一つの作品を作り上げられたことは、自分にとって非常に大きな経験でした。制作のプロセスを経験できたことはもちろんですし、作り上げた作品を多くの方に見てもらえるということは、快感でもありました。実際京都競馬場に足を運んでくれた知人やJRAの方にも好評で素直にとても嬉しかったです。最初は「初めての放映の時、完成品を見たら泣いてしまうかも…」なんて思っていたんですよ。でも実際に放映の時に心に浮かんだことは「まだまだやな」という感想でした。当初予想していた以上のものは自分でも作れたと思います。しかし、実際に制作してみて、コピーや映像において、また自分自身のプランニングにおいても課題はたくさん見つかりました。現在の心境としては決して満足はしていません。ただ、自信にはなったと思います。

私は4月から広告業界で勤務する予定ですが、制作を通じて広告作りの楽しさを確認できましたし「自分の選択に間違いはなかった」と改めて思いました。このCMの登場人物であるカメラマンにとって、馬が自分の原点であったように、このCMは私の原点になるのかもしれませんね。

そして、ロケに協力してくださった隠岐ノ島の方々、出演者の子供達、BGM提供のため東京からお越しいただいたシンガーソングライターのもりたかしさん、プロジェクトに関わったスタッフのみなさん、本当にたくさんの方々にお世話になりました。心から感謝しています。

取材・文岡本純一(経営学部4回生)
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