2014 同志社女子大学 薬学部 医療薬学科 卒業 2023 同志社女子大学大学院 薬学研究科 医療薬学専攻 博士課程 修了
薬剤師として働くことを決めていた私は、学部生での研究の締めくくりにと6回生の秋に学会にてポスター発表をさせていただきました。その発表で初めてポスター賞を受賞し、とても嬉しく、今まで実験を頑張ったやりがい、達成感に満ち溢れました。しかし、当時は高校生の時から目標であった薬剤師として働くことを優先し、そのまま卒業しました。その後、病院、薬局と臨床経験を積んでいる時でも、研究で得られたやりがい、達成感は忘れられずにいました。大学在学時から徐々に研究に興味が湧いてきた私は、大学院に進学する決意をし、思い切って薬剤師職を退職し、再び研究の世界に飛び込みました。そして学位を取得後も、さらに研究に打ち込む機会をいただき、日々研究活動に勤しみ、現在に至っています。
治療抵抗性ヒト乳癌細胞における癌幹細胞の役割
治療に抵抗性を示すトリプルネガティブ乳癌細胞集団における、癌幹細胞の役割を明らかにするために、癌幹細胞・前駆細胞・分化細胞および増殖に関連する遺伝子の発現パターンや浸潤能解析をします。
乳癌は頻繁に診断される悪性腫瘍であり、その中でも特にトリプルネガティブ乳癌は、乳癌サブタイプの中で再発と転移のリスクが高いと言われています。癌には進展、成長、腫瘍内不均質性の3つの過程があり、その中に階層モデルがあります。階層モデルでは、癌幹細胞が頂点となり、そこから派生する自己複製能を喪失した分化傾向を有する細胞によって支持されています。自己複製能と分化能を備えた癌幹細胞が化学療法や放射線療法に耐性を示すことによって癌が再発し、また癌幹細胞の有する浸潤能・上皮間葉転換能によって転移すると考えられていますが、その詳細は未だ明らかにされていません。このことから、癌幹細胞に着目し、その特徴を様々な角度で解析し、治療抵抗性を獲得するメカニズムの解明に寄与することで、社会に貢献していきたいと思っています。
様々な学びや研究、チャレンジしてきたことが、自分にとってかけがえのない経験となり、きっと未来を切り開いていくと思います。
薬学部での6年間の学びは、医療分野のみならず、物理・化学・生物などの基礎科目も含まれ、多岐に渡ります。よって、様々なことに興味を持ち、それらを学びながら薬のスペシャリストにならなければいけません。また、研究にも取り組むという忙しくも有意義な日々を過ごすかと思いますが、あらゆることにチャレンジすることも、とても大切なことです。社会に出ると多くの困難がありますが、このように様々な学びや研究、チャレンジしてきたことが、自分にとってかけがえのない経験となり、きっと未来を切り開いていくと思います。私は、薬学の世界におけるみなさんの現在から未来で得られる、6年間という貴重な時間でのかけがえのない経験を、共に楽しみたいと思っています。