1997 立命館大学理工学部 卒業 1999 立命館大学大学院理工学研究科博士前期課程 修了 2002 神戸大学大学院自然科学研究科博士後期課程 修了
やっぱり、自然現象や実験結果に動機づけられた探究心だと思います。なんでこうなったのだろう?こうしたらどうなるだろう?をやっているうちに研究者になった感じでしょうか。私の場合、「タンパク質に圧力をかける」ということが卒業研究のテーマでしたから、まさに???でした。しかし勉強すると、普段の常温常圧下の実験は、「観えるものだけ観ている」のであり、物質がもつ本質の一面を観ているに過ぎないと気付きました。卒業研究に始まり研究歴20年くらいになりましたが、まだまだ「圧力生命科学」に浪漫を感じています。
タンパク質の構造と機能
圧力を用いた特徴ある構造生物学研究を行っています。タンパク質のコンフォメーション変化を原子レベルの分解能で解明し、生命現象の解明や治療薬の開発につなげます。
地球上では、さまざまな温度環境のほかに、深海などさまざまな圧力環境に生物が生息しています。これまでの多くの生命科学研究においては、生命現象における圧力応答は未解明な点が多いです。 また、圧力を用いた研究は、一般性のない特殊条件でのサイエンスではありません。タンパク質などの化学平衡(コンフォメーション平衡など)を考える場合、圧力は平衡をシフトできる有益な環境パラメーターになります。圧力を用いた特徴ある研究手法により、新しい切り口で研究展開しています。 特殊と思えるアプローチから、一般性のある結論を導いてこそ、独創的研究といえます。
探究心に火をつける
講義は、物理化学系の専門科目、実習科目と構造生物学を中心に担当しています。 物理化学は、「物理」とつくからでしょうか苦手という学生が多数います。しかし、物理化学は、考え方の基盤になる科目といっても良いです。 たとえば、薬が標的タンパク質の働きを阻害する場合、強く標的と相互作用する化合物が薬となります。「鍵と鍵穴」のように単にかたちが合えばよいのでしょうか?物理化学を学べば、エンタルピー(保持するエネルギー)変化とエントロピー(乱雑さ)変化のバランスで決まることがわかります。物理化学では、難しいと感じる式もありますが、皆さんが関心を持って学べるように心がけて講義しています。 卒業研究では、まず一生懸命研究に打ち込んでください。そのうち君たちの探究心に火がつくことでしょう。