2009 岡山大学薬学部 卒業 2011 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科創薬生命科学専攻博士課程前期課程 修了 2014 京都大学大学院薬学研究科医療薬科学専攻博士課程後期課程 修了
大学4年生のとき、生物薬剤学分野の研究室に配属させていただき、「抗がん剤を腫瘍部位に選択的に送り届けるための製剤開発」をテーマに研究をスタートしました。 順調とはとても言えませんでしたが何とか研究を進めていき、自分自身で試行錯誤して設計した製剤が従来の医薬品よりも高いがん治療効果を発揮することを証明したときの喜びは今でも鮮明に覚えています。この経験が、私が研究者の世界に足を踏み入れる最初のきっかけであったと思います。 また、自分が思い描く「あんなこといいな、できたらいいな」というアイデアを自分自身で試してみることができるということが、大学院在籍中に感じた研究者の魅力であり、私が研究に魅了され「研究者になろう」と決心した大きな理由です。
磁石の力で医薬品を疾患部位へ送達する
磁性ナノ粒子を封入した薬物送達キャリアを開発し、外部磁場との併用による標的部位選択的かつ効率的な薬物送達システムの構築を行います。また、再生医療への応用を目指し、磁場を利用した細胞送達システムの開発にも取り組んでいます。
どれだけ薬効の優れた薬物でも病巣部位へ到達しなければ治療効果を発揮することはできません。それどころか、正常組織への分布が大きいと予期せぬ重篤な副作用の発現につながります。 これらの問題を解決する方法として思いついたものが「医薬品を病巣部位へ磁石で引き寄せよう」というアイデアでした。このようなシステムの開発を通して、今ある医薬品の効果を少しでも高め、また、副作用の発現を少しでも低減できる製剤作りを目指して研究を進めています。 新規化合物を探索、あるいは合成し、新たな医薬品を創り出す研究ではありませんが、市販薬の薬効向上・副作用低減を実現できる新規製剤も紛れもない「新たな医薬品」であると考え、少しでも国民の医療水準の向上に貢献できるよう努めていきます。
「研究100%!!遊びも100%!!」
薬学部生の進路には、病院薬剤師や薬局薬剤師、製薬企業などがありますが、いずれの職種においても「生物薬剤学・薬物動態学」は切っても切れない必須の科目です。 しかしながら、これらの科目は知識の習得だけでなく、複雑な計算を伴う実践力も必要とするため、苦手意識を持っている学生も多くいます。そのため、薬剤学という分野に少しでも「興味を持ってもらう」よう意識して講義・実習を行い、暗記ではなく理解できるよう工夫を凝らしています。 また研究室では、学生に年齢が近いので、気軽に接することができる教員として、学生と一緒に楽しみながら研究を行っています。「研究100%!!遊びも100%!!」をモットーに、実験はもちろん、スポーツや飲み会も全員で楽しむ充実した研究室です。