1982 徳島大学薬学部 卒業 1984 京都大学大学院薬学研究科修士課程 修了 1986 京都大学大学院薬学研究科博士後期課程 中退 1989 薬学博士(京都大学)
学部学生のときに天然物の化学構造の複雑さに興味を持ち、天然物を扱う研究をしたいと思い大学院に進学しました。 大学院では、有機合成の研究室で指導を受け、抗腫瘍活性ジテルペンの構造-活性相関に関する研究テーマで研究生活を開始し、研究を完成させようと思っているうちに、研究が面白くなり博士課程にも進学していました。学位取得の前後から自分の名前が掲載された論文も幾つか発表できるようになり、嬉しさとともに少しづつ研究者としての自覚も芽生え、今日に至っています。
生物活性分子および薬理活性分子の合成
有機化学的手法で、天然由来の生物活性物質を探索と合成を行います。
新規で汎用性の高い有機反応を開発するとともに、医薬品開発のシードになるような生物活性分子や薬理活性化合物を合成できれば嬉しいと思います。 薬の候補として期待される化合物のうち、実際に薬になる確率は3万分の1以下と言われています。毎日、1つの分子を合成しても一人でやれば100年近くかかる計算になります。また、80%の収率で進行する反応でも、連続して3工程進めば、生成物は原料分子の半分のモル数にまで減ってしまいます。 薬をつくるには気の遠くなるほどの努力が必要ですが、本邦大学発の医薬品も実在します。そんな先人たちの功績に学び、自分たちの合成した化合物がヒントになって薬が世の中に出れば、薬学の教員として研究者冥利に尽きるところです。
薬学を構成する基礎学問の修得が極めて大切
薬学は実学の一つと言われていますが、学生諸氏においては遠回りに見えても、薬学を構成する基礎学問の修得が極めて大切です。 有機化学系教員としては、「私達の体の中でおきている生体反応や毒物や医薬品の作用機序も有機化学の理論で説明でき、医薬品の構造式にも生理活性上の意味がある」ことを理解してほしいと思います。 一方、生命倫理や法律の精神を理解することも科学技術を修得する上で極めて重要です。 6年間の学生生活を通じて、時代の変化にも柔軟に対応でき、薬学の進歩や新薬開発に貢献できる人に成長してください。