京都薬科大学薬学部薬学科 卒業 京都薬科大学大学院薬学研究科薬学専攻修士課程 修了 京都薬科大学 博士(薬学) 取得
大学院に入学して間もなく、当時所属していた研究室の教授から「今日入荷したラット100匹全部を天ヶ瀬さんに渡すから、難治性胃潰瘍の動物モデルを確立してください。臨床で胃酸分泌抑制薬で治癒しない潰瘍があるので、そのモデルを秋にある学会のシンポジウムで発表したいから・・・。」と言われ、私の本格的な研究生活がスタートしました。教授と相談して決まった実験系が8〜12週間と長いため、同時進行で何群も用意して実験を行いました。動物の扱いもまだ不慣れであり、誰よりも朝早く研究室に行き、薬物調製して動物舎に向かう。全ての動物に投与を済ませ戻ってきたらもう昼食時間。昼食が済むとまたすぐに2回目の投与に出かけ、夕方に3回目の投与・・の繰り返しでした。なんとかデータが揃い、教授と一緒に東京まで新幹線で向かいました。初めて参加した学会は、歴史ある、また迫力のある学会で、自分が実際に動物に薬物投与し、得られた結果が発表されることに気づいたのは、学会会場に入ってからでした。自分が行った実験結果のグラフや、胃潰瘍像がスクリーンに映し出された時は嬉しく、来年はもっと実験を重ねて自分自身で発表できるように頑張ろう!と思い、新幹線に乗って京都まで戻ってきて、そのまま今日までひたすら進んでいます。
消化器薬理学・薬物治療学 種々の消化管疾患の病態解析ならびに予防・治療法の探索
消化管傷害などの副作用の少ない、より安全かつ適切な薬物療法の提案を目指し、臨床で用いられる様々な薬剤による消化管傷害の病態解析を行います。
高齢化社会において汎用されている各種疾患に対する治療薬は、期待される主作用の反面、副作用として消化管粘膜に対する傷害性が問題視されている場合が少なくありません。そこでこれら薬剤起因性の消化管傷害の病態解析を行うと共に、予防ならびに治療法の提案を目指して研究を展開していきます。科学技術の発達により、基礎および臨床研究が進んでも、未だ全てが解決できていない炎症性腸疾患をはじめとする難治性消化管疾患の病態解析、さらには全身性の炎症性疾患などへも研究を展開すると共に、他の臓器・組織の疾患の克服に繋がる可能性が期待できます。この研究を進めることで広く社会に貢献していきたいと思っています。
Welcome to the world of Pharmaceutical Sciences ! 薬学の世界へようこそ。
薬学部での学びは幅広く、化学系、生物系、物理系、医療系などの専門的な技能と知識、医療人としての態度を身につけます。つまり薬学部で学ぶということは、薬の専門家、薬の責任者になるということです。5年後、10年後、20年後の自分を想像しながら、大学生活では、薬学知識の修得のみならず、あらゆることにチャレンジしてください。様々な経験をすればするほど、自分の目標に近づき、夢を叶えることに役立ちます。薬剤師として科学者として、コミュニケーション能力は欠かせません。また薬学 = Pharmaceutical Sciencesは日本だけの学問ではありません。薬剤師として科学者として視野を広げるためにも、世界にいる同じ志を持つ薬剤師、科学者と対等に話し合える英語でのコミュニケーション能力を身につけることも大事です。 皆さん、一緒に薬学の世界を楽しみましょう!