2017年 立命館大学 薬学部 卒業 2021年 立命館大学大学院 薬学研究科 薬学専攻 博士課程 修了
中学生のとき、職場体験で「薬剤師」という職業を知りました。病院で薬物治療や新薬開発へ貢献している姿に憧れ、薬学部に入学しました。しかし、学部生の頃、学部卒業後の進路をどうするか悩みました。今思えば、当時まさか自分が「研究者」になるとは思わなかったですね。研究者に興味を持ったきっかけは、初めて食品衛生分野の学会に参加したとき、分析化学が行政を通して私たちの安心・安全な健康生活を担っているという「レギュラトリーサイエンス」の存在を知ったときです。その当時、私は既存添加物の成分規格を検討しており、開発した分析法が行政を通じて社会貢献できたことに大きな達成感を感じました。そのような経験を踏まえ、分析化学により国民の安心安全な生活の礎を築きたいと思い、分析研究者になろうと思いました。
食の安心・安全を基盤とした新たな分析化学技術の開発と行政への提案
食品添加物、健康食品および残留農薬などの簡便かつ信頼性のある新たな分析技術を構築し、公的試験法として提案することにより、レギュラトリーサイエンスに貢献する。
レギュラトリーサイエンスは、薬学分野において医薬品・医療機器(薬機法)、食品(食品衛生法)に重要な役割を持つと言われています。現在、分析化学分野では、高精度・画期的な新しい技術が開発されていますが、一般の分析技術者に対して汎用性が低く、技術の成果を安全かつ速やかに社会に普及することは難しいです。そこで、誰でも簡単に、安価にできる分析技術の開発とその成果により、公定試験法への採用を通じた、国民の健康維持・促進に寄与していきたいと思っています。特に、食品添加物、健康食品や残留農薬を中心に、行政への提案を念頭に置き、汎用性かつ信頼性を有する分析法の構築を目指します。
学生へのメッセージ
大学生活は、人生で最も自由な時間であり、多くの選択肢があります。この時間をどう過ごすか、今後大きく変化します。そこで、ぜひ自分の「やりたいこと」を見つけてください。そして、計画を立て、行動に移し、進み続けること。その途中、壁にぶつかり、失敗して不安や恐怖を感じることがあると思います。その時は事実に目を向け、その問題から何を学べるのか・自分はどうしたいのかを考えてみてください。そうすると、自然と解決策が見えてきます。失敗してもいいんです。失敗して当たり前なのです。それは学生の特権です。そして、それは研究に関しても同じです。仮説だけを立てても結果は分かりません。その仮説を検証するために実験をして、その繰り返しが研究であり、面白いところです。薬学生は多忙な生活を送りますが、その中で、自分が本当にやりたいことを見つけてチャレンジしてください。学生の皆さんがより充実した大学生活を過ごせるよう、教員としてサポートしていきたいと思います。