2012 静岡大学 人文学部 言語文化学科 卒業 2021 大阪大学大学院 言語文化研究科 言語文化専攻 博士課程後期課程 単位取得退学 2024 大阪大学大学院 言語文化研究科 言語文化専攻 博士課程後期課程 修了
父がたまたま英語教員だったという理由で,私の中学・高校時代の英語学習は「将来父に英語で負けたくない」という(偏屈な?)動機によって成り立っていました。その後,将来英語に携わる仕事をしたいという漠然とした志を持って大学に進学しましたが,そこで言語学の科目を履修したことが,この道に進むことになったきっかけだったと思います。言語の仕組みそのものを研究するというこの学問は,それまで外国語学習の対象として英語を学んでいた私にとって非常に新鮮に映ったことを今でも覚えています。言語学を学ぶうちに,英語はおろか母語であるはずの日本語についても,「なぜそうなっているのか」という問いに自分がほとんど何も答えられないことに気づき,その「なぜ」を問いの一つとする言語学の魅力に強く惹かれていきました。
日常言語に潜む比喩表現を認知言語学的観点から分析する
日常言語の中に遍在する比喩表現を探し出し,その成立要因を認知的基盤・経験的基盤の観点から明らかにすることを試みています。
比喩表現と聞くと You are my sunshine. (あなたは私の太陽だ。)のように,あからさまな言葉の綾が思い浮かびますが,実際には私たちにとってより身近な存在です。例えば,overflow with joy(=喜びで溢れる),boil with anger(=怒りで煮えくり返る)という表現は日常の中でも使用されますが,これらには感情を液体に見立てる喩えが含まれています。「人間は世界を理解するために比喩的思考を用いることができる」という認知言語学の考えに基づき,日常言語の中の比喩表現がなぜそのような形を取るのかについて明らかにしていきたいと考えています。 また,外国語学習の一環として比喩表現を学ぶ際に,機械翻訳を効果的に活用する方法を考案したいと考えています。日常言語に遍在する比喩表現は,外国語学習者が意識的に学ぶ機会を逃しがちです。母語固有の発想に基づくことで,気づかないうちに不自然な表現を用いてしまうことも珍しくありません。近年の機械翻訳は母語話者の発想に限りなく近い表現を産出するようになっており,これを効果的に活用することで,比喩表現の学習が捗ると考えています。
利用可能な全ての表現手段を活用し,マルチモーダルな自己表現を目指しましょう。
近年のICT技術の急速な発展により,私たちは日々多様な情報を受け取っています。同時に,情報端末とネットワーク環境さえあれば、誰でも世界へ情報を発信できる時代となりました。技術の進歩や社会的需要に応じ,自らが発信者となる機会は今後さらに増えていくでしょう。このような時代背景を踏まえ,学生の皆さんには,発信者として今後求められるスキルと態度を身につけてほしいと考えています。 薬学部で展開されているプロジェクト発信型英語プログラムでは,学生が自分の興味・関心に基づき自由にテーマを選んでプロジェクトを進め,その成果を英語で発表します。このプログラムは,クラスの中に留まらず,クラスの外,さらには学外(世界)に向けた発信の機会を準備しています。皆さんがこれまで学んだ英語を,世界に向けた発信のために実践的に用いる機会となります。もちろん,効果的な発信のためには英語さえできていれば良いというわけはありません。利用可能な全ての表現手段を活用し,マルチモーダルな自己表現を目指しましょう。 学生の皆さんが多くの自己実現を達成できるよう,私たち教員も一丸となって全力でサポートいたします。