1976 立命館大学理工学部 卒業 1978 金沢大学大学院薬学研究科修士課程 修了 1982 大阪大学大学院医学研究科博士課程 修了 1982~1987 大阪大学医学部 助手 1987~1994 日本チバガイギー国際科学研究所 1994~1999 立命館大学理工学部生物工学科 助教授 1999~2004 立命館大学理工学部生物工学科 教授 2004~2008 立命館大学情報理工学部生命情報学科 教授 2008~ 立命館大学薬学部 教授
大学生の頃に読んだ書物が、その後の進路に大きく影響しました。とくに、生化学や有機化学、薬理学の入門書には啓発され、こういった分野での研究をしてみたいという思いが醸造されたように記憶しています。 学生時代に理工学から薬学、医学へと分野を変え、また留学を契機に神経科学の領域でも研究経験を積んだことが、今の自分の仕事に大きなプラスとなっています。若いころにいろんな分野の研究に挑戦でき、その経験を生かせる職業に就くことができました。それもこれもバブル絶頂期に30代を過ごしたことが幸いしていると思います。深刻な課題に直面している現代にあっては、余談に過ぎないような話ですが・・・。
新規受容体の生理機能を解明
みなしご受容体について、細胞内情報伝達機構を明らかにし生理機能の解明します。
薬理学の中心的テーマである受容体学について、分子生物学的手法と細胞工学的な手法を合わせて取り組んでいます。アドレナリンやアセチルコリンなど様々な生体内物質は私たちの身体の恒常性や精神機能のコントロールを司っています。こういった物質はいずれも細胞膜にある受容体に結合することによって機能を発揮しており、その過不足によって身体の異常が生じます。多くの薬は、これら受容体に作用し、異常になったバランスを正常に維持するように働いています。また、ヒトゲノムの解読から、機能や作用物質のわからない受容体がまだまだたくさんあることが明らかになってきています。そこで、私の研究室では、理解の進んでいない受容体について、生体内の作用物質の同定や、生理機能の解明を研究テーマとしています。このような研究が、創薬や疾患の新しい治療法の開発につながると信じています。
時代を予測し、そこで自分が如何に世界に貢献できるかを考える
今世紀に入り、計算機の進歩、ゲノムの解読、iPS細胞の開発など自分が学生時代には思いもおよばなかった科学の新しい概念と研究ツールが誕生しています。 これらは驚くほど速い軌跡で我々の眼前に現れ、それまでの科学のみならず社会全般を一変させています。 今の学生諸君が大学を卒業し、10年を経たころには新たな科学通念が生まれ、社会の在り方にも大きな影響を与えていることは想像に難くありません。柔軟な思考と、他分野への興味と理解が今にも増して要求されると思われます。 時代を予測し、そこで自分が如何に世界に貢献できるかを考えうるような知力と人間力を、大学で身につけていただきたいです。