1984 京都大学薬学部 卒業 1986 京都大学大学院薬学研究科薬学専攻博士課程前期課程 修了 1991 大阪大学医学博士 (生化学)
学生時代に細菌遺伝子の単離(クローニング)を研究課題として与えられたのがきっかけで、分子生物学の世界に足を踏み入れました。当時はまだ現在のように試薬・キット類が整っておらず、多くの反応系が自家製であったことを懐かしく思い出します。さまざまな方法論が確立していない状態で、同じ研究室の先輩や同僚と試行錯誤を繰り返しながらひとつひとつの実験を進めていくことにより、実験を楽しみながら個々の操作や手技の意味をより深く理解することができました。実験には失敗がつきもので思いどおりに行かないことも多いのですが、そうしたなかで少しずつ研究を前に進めようという原動力は「生物の不思議」に対する好奇心だと思います。
細胞内情報伝達系に焦点をあてた創薬研究
分子生物学的手法を用いて、酵素の反応機構や細胞内情報伝達系のネットワークを分子レベルで明らかにし、疾患とその治療薬の研究を行っています。
ヒトを含めた多細胞生物は、個々の細胞が外界や他の細胞からの刺激に対して適切な応答をすることにより、個体として調和のとれた活動をしています。細胞表面にある「受容体」が様々な応答を引き起こすためには、細胞内では多くのタンパク質によって構成されるネットワークを介して情報が伝達されています。同じ受容体を同じ分子(リガンド)で刺激しても、細胞によって異なった応答がなされるのは生体ではよくみられる現象で、このことから細胞内情報伝達系の重要性が示されています。 研究では新しい技術を積極的に取り入れながら、生命現象の一部分に光を当てるべく実験に取り組み、さらに創薬へと繋げる形で社会に貢献していきたいと思っています。
自分らしさを大切にしよう
周りの人たちと仲良くやっていくことは大切です。勉強でも、研究でも、仕事でも、ひとりでできることは限られており、多くの人たちの意見や手助けがあれば結果は大きく違ってきます。周りの友人や先輩たちの話に真摯に耳を傾けることが円滑なコミュニケーションには重要です。 一方で、どんな時でも自分の意見を持つことは大切です。周りに流されてばかりいると、自分で考えることが面倒になってきて、なにも考えないことが習慣になってしまいます。些細なことでも良いので自分の意見を持つこと、そしてそれを周りの人に聞いてもらうことが、そのグループ・コミュニティを活性化し、また元気にしてくれることでしょう。