1977 徳島文理大学薬学部薬学科 卒業 1979 徳島大学大学院薬学研究科薬学専攻修士課程 修了 1993 京都大学博士(医学) 取得
私が薬剤師を志したころは、日本は今の中国以上の公害大国。国内のいたる所で大気汚染による喘息患者が生まれ、ヘドロや水銀の垂れ流しによる水質汚染で水俣病等が発生し、罪のない多くの人々を苦しめていました。当時ニュースで流れた病状は人として見ていられないほどひどかったのを今でも覚えています。 この公害被害拡大を防止し、同時に患者を治療するため、薬学部で薬の勉強をし、さらに公害分析を専攻したいと考えたのが薬学部進学のきっかけです。大学では分析学研究室に籍を置き、この目的達成のため、当時は進学する人が少なかった大学院での研究テーマに水銀分析を選ぶことになります。この修士時代に研究する楽しさ・面白さを知ることになりました。このことが臨床現場で患者治療に寄与するだけでなく、研究的活動も可能な大学病院薬剤師の道を選ぶことになりました。 薬剤師の原点として、人のために役に立つ人間になりたいと思う気持ちは現在でも変わりません。
京都大学病院薬剤部での経験を、後進の成長に役立つように伝えたい
教育面では実務担当教員として、京都大学病院薬剤部での経験を、後進である学生諸氏の成長に役立つように伝えたいと考えています。 それは薬学共用試験(OSCEやCBT)、病院・薬局実務実習、薬剤師国家試験だけを見据えたものだけではなく、これからの長い薬剤師・研究者生活に資するものでなければなりません。このため単に調剤業務の技術・心構えの伝授だけでは終わりません。 京都大学病院で従事した調剤業務や医薬品試験室でのTDM業務・病棟業務、一般製剤室・無菌製剤室での製剤製造業務、医師に直接貢献する医薬品情報室業務、医薬品選定委員会の業務、院内感染対策委員会の設立と参画、医療安全担当副薬剤部長の業務などを通して得られた現場力に裏打ちされたものを提供することになります。 将来臨床で活躍できる薬剤師・臨床研究者の育成を目指していますので、現実を動かす薬物治療の考え方(実践方法)、臨床現場で多くのファクターが輻輳する中で何が大切なのか識別する(使える知識)、チーム医療の中での自分の発言に責任を持つ意味(根拠に基づく発信)等々の大切さについて考えていくように指導しています。