1979 徳島文理大学薬学部 卒業
私が薬学部を目指したのは、高校時代化学が好きだったからという単純な理由によるものでした。残念ながら、大学では有機化学はそれほど得意ではありませんでした。私が薬学部を卒業した昭和54年頃の卒業後の主な進路は、病院、公務員、薬品会社のMRや研究職等で、当時は今のように保険薬局への採用はなく、一部ドラッグストアに就職する人がいたというような時代でした。実務についての授業はなく、希望者のみ1ヵ月の病院実習を受けるという状態でした。私は、漠然と少しでも薬の研究に関係するような仕事がしたいという思いで、一旦は小さな薬品会社に就職しましたが、その後、やはり臨床に関わりたくて、大学で研修を受けた上で病院に就職しました。我々の時代に比べると、今の薬学部の学生は、実務について十分に学ぶ機会があり、とても幸せな環境にいると思います。これまでは病院で実務実習を行う立場にあり、実習の終わりにはほとんどの学生が成長してとてもいい表情になっていくのをたのもしく感じていました。実務実習は大学の授業と実務をつなぐ貴重な経験になると思います。ぜひ有意義な実務実習にして、将来につながる何かを見つけてほしいと思います。
軟膏調剤を行う上での基剤や疾患等の基礎知識、軟膏混合調剤の方法や注意点等について講義を行い、その後軟膏混合調剤の実習を行い、実技指導を行った。
入院患者に対する初回面談の方法について、講義と実技指導を行った。8つの症例を提示し、症例ごとの課題について、学生はグループに分かれ各々発表してもらった。その後調べた症例の患者に対して初回面談のロールプレイを行い実技指導を行った。
前半は、医療薬学1で学んだ軟膏調剤の復習の講義と新たに散薬の練合と軟膏混合の実技の復習を行い指導した。後半は、OSCE対応を含め、実務実習において軟膏混合の処方に対応できるよう、軟膏混合調剤の課題について実習を行い、実技指導を行った。
学生へのメッセージ
私は、薬剤師になって30数年間病院薬剤師として4つの労災病院で勤務してきました。その間、ほとんどの業務を経験し、感染制御専門薬剤師としてICT活動も行ってきました。よって、これまで病院薬剤師の業務がどう変化してきたかを見てきました。就職した当時からすると、外来調剤中心の業務から、院外処方箋発行により、病棟業務、抗がん剤・TPN調製、チーム医療への参画等、業務範囲は大きく拡大し、それによって責任も重くなってきました。最近では、平成22年の医政局長通知により、チーム医療の中で薬剤師が専門性を生かして行うべき業務が明記され、平成24年には病棟薬剤業務実施加算として、薬剤師の病棟業務が診療報酬として評価されたことは、病院薬剤師の業務拡大につながる非常に大きな出来事だったと思います。病院薬剤師にとって最もいい環境が整ってきたと感じています。これからは実力さえあればもっと責任のある業務を任せてもらえる時代が来ていると思います。保険薬局においても同様の流れがあると感じています。この機会を逃さず、ぜひ、専門性と臨床能力を身につけて、チーム医療の中で薬剤師の存在感を示してほしいと思います。