1996 徳島大学 薬学部 卒業 1998 大阪大学大学院 薬学研究科 応用医療医科学専攻 博士課程前期課程 修了
手先の器用さ、ハングリー精神から、医療系の学部への進学を目指していました。薬学部に進学できたのは、今思うとラッキーでした。私が学生のとき、青色発光ダイオードが徳島から発明され、後に日亜化学工業(株)の研究員であった中村修二さんはノーベル賞を受賞することになりました。自分自身で何か発明できるかも、と。1.3MのフロッピーディスクとCD-ROMしかない時代の高額パソコンPPC8600(マック)を購入し、先輩の真似から始めました。研究テーマを説明するために、パソコンでイラストを作り、複雑なものを作って喜んでいました。大学院時代は、とにかくたくさんの論文を読みました。大阪大学吹田キャンパスからはたくさんの発明がなされ、当時の総長の研究室では、今では有名になったIL-6抗体や阻害薬が発明され、時を同じく微生物研究所では、GFPマウスが生まれ、久米宏がキャスターを務めていた報道番組に取り上げられました。自分のことでないのに、うれしかったのです。「発明者」にあこがれ、いつか自分もなりたい、その気持ちがどんどん膨らんだのだと思います。早くから、研究志向が強く、これもひたすら「LEGO」と「プラレール」で鍛えた柔軟さが生きているのだと振り返ります。
くすりの副作用から考える機能性とその有効利用
抗糖化アンチエイジング素材の開発や発毛促進剤の開発、免疫賦活性サプリメントの開発などを行っている。花粉症、アトピー性皮膚炎の予防に向け、実用化検証中。
誰でも、没頭する力はあります。「好きこそものの上手なれ」ですが、やってみて楽しい実験というのは、それなりに訓練をして初めて味わえるものです。例えば、GFP発見の経緯は、家族総出で、クラゲをとりに行く毎日。何度も何度もテストして、失敗を経験することもあります。研究テーマは、「見た目で分かりやすい」ものが好まれがちですが、ひたむきに泥臭く取り組む研究も続けています。言い換えると、「見た目で分かりやすい」研究は、誰でも出来ちゃうのですから、テーマとしてはあまり好きではありません。研究室で挑むそれぞれのテーマでは、構成員がチーム力を発揮して取り組んでおり、全員成長戦略で頑張っています。
「先生、本気なんですね」
私は立命館大学に赴任してから独自のテーマを次々に開発しています。実際、多方面の企業様と一緒に素材を開発したり、営業活動もしています。学生さんも時々企業のオフィスに連れていくのですが、社会で実際に商品を出すこと、連携の仕方を社会人レベルで会話することに、刺激を受け驚くようです。プロバイダーとして、企業と共同で開発するさまを見て、「先生、本気なんですね」とよく言われます。 実学には、多くの経験が必要ですが、学生の皆さんには、学生時代に多くの経験をしてもらえる環境を用意しています。経験さえすればよいのではないので、しっかりした基礎学力を身に着けてもらえるよう、サポートしていきます。何より、自分の進む道!興味をもってやれば成功する!、と思います。私自身を育ててもらった薬学部に恩返しするつもりでいます。 ですので、学生のみなさんは不思議に思うことに出会ったら、自分なりに少し考えてみたり、その考えを他の人に話してみたりしてください。すぐに答えが見つからなくても、その過程で考える力が養われると思います。これは研究、学業に限ったことではなく、日常生活においても同様で、「考える力」は皆さんの人生を豊かにするのだと信じています。 楽しみながら、いろいろなことに挑戦し、いろいろな人と話し、いろいろなことを考え、"日常を科学する心"を養ってください。