Growth Trajectory
積み重ねてきたキャリアを活かし
演者と運営、二つの側面から業界に貢献。
現役引退後は、各国のフィギュアスケーターが集まるアイスショー「スターズ・オン・アイス」に出演しています。4月末から5月にかけての約1カ月間で数十都市をまわるツアーが中心で、12月に開催されるショーにも参加します。秋から冬にかけての競技シーズン中にショーが企画される年もありますが、それ以外のときは自身の振り付けを考えたり、コーチのアシスタントなどをしたりしています。
競技シーズンにはレポーターやアンバサダーとして大会会場に行くこともあります。初仕事のとき、控え室の和やかな雰囲気に驚きました。私が選手の頃は張り詰めた空気の中で緊張しながら自分の順番を待っていましたが、そんな様子はまったく感じられず…。でもそれは、空気感が変わったのではなく、私自身の変化によるものでした。当時の私は緊張しすぎて自分のことしか考えられず、まわりも見えていなかったようです。今では現場を俯瞰的に見ることができるようになり、選手が互いに応援し合う温かな雰囲気に気づかされ、フィギュアスケートの楽しさを改めて実感しています。
2024年から日本スケート連盟の理事としても活動しています。「若い女性の力を」とお話をいただき、スケート界に貢献できるならとお引き受けしました。まだ大きな活動経験はありませんが、NHK杯男子シングルスの表彰式でメダルの授与をさせていただきました。受賞者が全員顔見知りで、私が登場したときの「えっ?」と驚く顔に、改めて理事という立場の重さを自覚しました。

学校が楽しかったからこそ
スケートとの両立も頑張れた。
3年生で立命館小学校に1期生として入学しました。それまでは海外生活を経験したり、公立の小学校に通ったり、環境の変化が影響したのか上手に友人と話すことができない子どもでした。幼心にそんな自分が嫌で、「ちゃんと喋ろう!」という強い意志を持って進学。いざ通い始めると、ホッとするような雰囲気があって、肩の力がすっと抜けたのを覚えています。先生との距離が近く、全生徒がのびのびと過ごす温かな環境に、私もすぐに馴染みました。参加型の授業や行事が多かったことも、児童主体の自由な雰囲気を作っていたと思います。特に印象に残っているのが文化フェスティバルで、先生と児童全員で一つのものを作り上げる楽しさを学びました。 当時の校長先生が孔子の言葉を教えてくださる「論語」の授業も好きでした。いま思えば、小学校3、4年生には難しい内容でしたが、中学校の古典の授業で、小学校時代に聞いたことのある論語が出ると嬉しかった記憶があります。当時教わった「君子は器ならず」という言葉はずっと心に残っていて、座右の銘として今も大事にしています。 フィギュアスケートで初めての国際大会に出場したのもその頃で、そこでスケートの楽しさを知り、情熱が開花したと自分では思っています。朝や放課後に毎日練習し、体はヘトヘト。それでも学校が大好きだった私は、宿題は欠かさず提出し、学校行事も試合が被らない限りは休まず参加するなど両立を意識していました。

フィギュアスケートという「芸術作品」を
多くの人に届け、次世代に継承する。
少しでも長くフィギュアスケートを続け、スケート界に貢献できる活動をしたいというのが今現在の目標です。最近特に考えているのが「ダンサーのような演技をしたい」ということ。現役時代、アイスショーは大会を視野に入れた練習の場という意識がありましたが、今はアイスショーが私の本番。自分で自由にプログラムを構成できるので、「フィギュアスケート=芸術性の高い“魅せる”スポーツ」という考えのもと、クリエイティブな表現を取り入れるよう心掛けています。フィギュアスケートには独特の動き、癖のようなものがあり、私はそれを改善するために氷上のプログラムを「陸」でやり、バレエの先生にアドバイスを受けるようにしています。先生には、バレエの動きではやらない手の使い方をしていると指摘されます。無意識のうちに氷上と同じような体の傾きや重心の調整をしているようで、腕が変なところから出てくるらしいのです。そういう独特の動きから脱した、型にとらわれてないスケートを目指したいと考えています。また、次世代スケーターの育成合宿に参加する機会があれば、私の経験を伝え、芸術的な美しい動きの追求などの技術面に加え、メンタルな部分でもサポートできればと思っています。 スケート以外だと、言語の勉強をしたいですね。アイスショーや国際大会にはいろんな言語を話すスケーターが集結します。英語だけでなく、いろんな言語が話せると、コミュニケーションが取りやすくなりますから。

Column
「大好きな先生との出会い」
3、4年生を受け持ってくださった先生とはずっと仲良くさせていただいています。何かきっかけがあったわけではありません。卒業後もいつも私のことを気に掛けてくださって、スケートの試合もよく応援にきてくださいます。私も先生のことが大好きで、オリンピック選手に選ばれたときも、引退を決めたときも、先生に連絡させていただきました。引退後は時間が合えば京都の寺社を一緒に巡ることもあります。どんなときも常に私の心の支えになってくださり、本当に感謝しています。
立命館小学校の先生は温かい方ばかりで、この温かさが立命館小学校最大の魅力かもしれません。

Goal
「Life is Beautiful」
「人生は素晴らしい」という意味で、私の座右の銘の一つです。失敗も成功もすべてが自分の糧になるという思いが込められていて、「正しいから良し」とか「間違っているからダメ」ということはなく、失敗も成功も、どんなこともそれはすべて自分のためになる。だから、これからの人生もチャレンジ精神を大事に、日々を大切に生きていきたいです。
Message
入学希望者へのメッセージ
振り返れば常に全力だった自分がいます。立命館小学校で得た喜びや悩み、すべてのことが今の自分を作ったと感じます。他愛もない友人との会話からリッツスポーツフェスティバル(運動会)のような大きなイベントまで、小学校時代のすべてが人生の一大イベントでした。立命館小学校は「今」を全力で生きることの素晴らしさを教えてくれる学校です。お子様やご家族の皆様にも、その素晴らしさを実感していただければと思います。私もまだまだ未熟ですが、これからも一生懸命に頑張っていきます。
※プロフィールや内容は掲載当時のものです