RITSUMEIKAN 立命館大学



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▼EVENT(スポーツ/学芸)▼

【1】[@京都][当日受付][無料]茶道研究部 秋季茶会

京都御所の隣にある梨木神社にて、本学茶道研究部の秋季茶会を開催します。参加費は無料です。ぜひお越しください。

[日程]10月14日(日)9:00?15:00
[場所]梨木神社(京都市上京区寺町通広小路上る染殿町680)

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【2】[@滋賀][当日受付][無料]アコースティックギターサークル 秋期演奏会

今年、結成16年目を迎えたアコースティックギターサークル。恒例の秋期演奏会です。様々なジャンルの曲をアコースティックギターで奏で、歌います!ぜひお気軽にお越しください。

[日程]10月14日(日)12:00?17:00
[場所]びわこ・くさつキャンパスセントラルアーク 1階 ドリームクロスラウンジ

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その他のスポーツ・スケジュールはコチラ≫
https://www.ritsumei.ac.jp/event-sports/sports/schedule.html/

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▼立命館LIFEのススメ▼

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現代の多様な生き方に対応した家族法をめざして

二宮周平 法学部教授
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立命館の学び・研究を通して、日常生活をより豊かに、楽しくするコーナー。

今回ご紹介するのは、法学部の二宮周平教授です。

「家族の多様化」と「個人化」という現実に対応した、家族法の仕組みづくりについて研究されている二宮先生。どのような家族法が必要なのか、法律が果たす社会的な役割や法律を学ぶ魅力についてお話を伺ってきました。


Q:先生の研究テーマについて教えてください。

社会における「家族の多様化」と「個人化」という現実に対応した、家族法の仕組みづくりについて研究しています。ただ、家族法という法律はありません。民法の中の「親族編」「相続編」、それから「戸籍法」、「家事事件手続法」に関わる部分を講学上の用語として家族法といいます。民法にとどまらず、より広い目で見ると「社会保障法」や「税法」の家族に関わる部分も家族法に含まれると思います。「人の生き方」「家族のありかた」が多様になってきた現代において、民法を中心としながら関連領域も含め、現状をきちんと支えられる制度を作れないか、ということを研究しています。


Q:先生が家族法に興味を持たれたきっかけを教えてください。

学生時代に法律相談部に所属していたこともあり、民法に触れる機会も多く、さらに大学院で5年間勉強しているうちに、民法のことが本当に好きになりました。民法のなかでも家族法の領域に興味を持ったのは、当時の恩師に言われた「家族法というのは人間の勉強であり、人間に対する興味・関心がないといけない」という言葉がはじまりです。私は、人間について興味がありましたので、家族法を研究してみようと思いました。

法律は、紛争解決の一つの基準として役に立ちます。単にトラブルを解決するためではありません。誰の利益を実現するために解決するのか、その解決が社会にどのような影響を与えるのか、と普遍的に考えることも求められます。目の前の事例ひとつひとつは個別性が高いのですが、最終的には判例が残り、他の事例にも基準として活用されます。そういう意味で、小さな事象を大きな視点から考えることが求められます。法律というのは、個別に対し追求をし過ぎて全体の不整合を起こしてはいけませんし、全体ばかりを考えて実際に困っている人を救済できなくてもいけません。一定のバランス感覚のような力が身につく学問であることが魅力であり、興味を持った理由でもあります。

ちなみに、大学院時代の研究テーマは「事実婚」です。自分たちの意思で婚姻届を出さずに共同生活する人達がいることを知り、個人の生き方の多様性に合わせた制度を作らなければいけないと課題意識を持つようになりました。


Q:なぜ、個人の生き方の変化に合わせて法律を変える必要があるのでしょうか。

現実社会との乖離がうまれてしまうと、人を守るべき法が上手く機能しなくなるからです。現在の法律は、夫が外で働き、妻の仕事は家事、という家族形態を前提としたものになっています。これを前提に、法律はじめ税制や社会保障が組み立てられていますので、現在の社会とうまく合致しない部分が生じてきています。
例えば、労働者の仕事と家庭との両立をより一層推進するための「育児・介護休業法」という法律があります。民法でも「夫婦は互いに同居し、協力し、扶助しなければならない」と規定しています。しかしながら、妻も夫も家事と仕事を両立することが難しいのが現実です。

その理由は、本当の意味で「家庭と仕事を両立でき、女性も男性も安心して働ける仕組み」が作られていないからです。保育所や介護施設の拡充など社会基盤を整備するとともに、家族法自体も柔軟に変化させていかなければ、良い相乗効果を生み出せないのです。法によって人が守られ、法改正とともに企業・官庁はじめ社会全体の意識や仕組みが変わらないと根本的な解決には繋がりません。

時代の変化とともに、個人・家族の生き方は必ず変化します。よりよい社会を実現するためには、その変化に合わせて柔軟に法律を変える必要があるのです。


Q:特に力を入れている領域はありますでしょうか。

1996年に「民法改正案要綱」がまとめられましたが、様々な意見もあり、いまだに成立に至っていません。この要綱案の事例について研究し、成立が実現できるように努力しています。
この法案には、「選択的夫婦別姓」「婚外子の相続分差別廃止」「5年以上の別居で離婚を可能にする」といった内容が盛り込まれています。

近年、離婚協議の際に夫と妻の間で、子どもを奪い合う紛争が非常に増えています。この状況をどう解決するかという問題に対して、「親権者をどちらか一方にする」のでなく、「離婚後も『共同親権』にし、お互いに父母として子に対して責任を持ち、離婚後の親子交流や養育費の負担を決めていく」という家族形態を前提に離婚を認めるというケースも必要になってきます。

この十数年で、多くの諸外国が、「家族の多様化」に即した法改正を行っています。日本も法改正を急がなくてはいけないと思います。「子どものために何ができるのか」が重要です。親は大人ですから、離婚しても様々な困難に対して、自分で乗り越えていく力を持っているはずです。しかし、子どもには父母のサポートが必要不可欠です。

どのようにしたら子どもにとってよりよい「夫婦の別れ方」になるか、それを実現できるような仕組みを作っていかなければなりません。


Q:離婚するケースは、増えているのでしょうか。

いま、1年間で約24万件の離婚があります。両親の離婚を経験する未成年の子どもも24万人近くいます。この数は年々増え続けており、誰でも身の回りで、誰かの離婚と遭遇する可能性があります。

また、今は婚姻する人の約4分の1が再婚者です。再婚の場合、連れ子がいる可能性もあります。そういう家族形態においても、良好な関係性を作る必要があります。子どもにとっては、親の再婚相手である新しいお父さんやお母さんと、また、離れて暮らしている実父や実母とどのように交流すればよいのか、難しい問題です。これからは、「親が何人いてもいいんだ」と、「子どもを大切に思う親が3人、4人と、多くても良いのだ」という発想に変えていかなければいけません。


Q:昔と今では「離婚」のイメージが変わってきているのでしょうか。

離婚のマイナスイメージは低下してきていると思います。
離婚する辛さ・苦しさは今も昔も変わりませんが、意識として、「破綻して実質空洞化している婚姻であれば、夫婦は別れてそれぞれの新しい生活に踏み出すのも一つの選択肢である」という考えが一般化しつつあるのが一つの証だと思います。

離婚する、しない、というような「選択の自由を保障する」というのが21世紀のキーワードだと思います。もちろん、選択できるだけの力を身につけないといけません。「貧困や差別がない」という大前提のもと、選択できる力を身につけられた場合、自分の希望・意志に従って、ライフスタイルや家族のあり方などを選べることが基本だと私は思っています。


Q:日本の民法の改正は、諸外国と比べて遅れているのでしょうか。

そうですね。様々な社会基盤のシステムが「夫婦と子ども」を基本に作られており、選択の余地が非常に少ないです。例えば、結婚をした時に「夫婦同姓」となるのは日本だけです。他の国は夫婦同姓、別姓が選択できる制度です。韓国のように別姓が原則の国もあります。婚外子の相続分差別も日本だけです。

この遅れの原因は、やはり固定観念です。夫婦や親子のありかたについて、「家族一体」という意識が強く、モデルが一つしかないからです。基準を一つにするから、そこから外れる人達が不利益を被るわけです。例えば、婚外子に対する法的差別に加えて、社会的な偏見もあり、「妊娠した」という理由で愛情の深さと関係なく結婚し、結局、若年者の離婚者数を増やす結果にも繋がっています。


Q:海外はどのような状況なのでしょうか。

日本だと嫡出子(婚内子)・非嫡出子(婚外子)、という言い方をしますが、海外では、嫡出子という言葉自体がもうなくなっています。姓の選択もできます。ただ、夫婦別姓の国では、同じ姓にできないという逆の悩みや辛さはあるようです。

しかし、自分の姓をずっと生まれた時から使用していますので、不都合もありませんし、日常生活でも慣れています。姓を強制的に変えさせられることはありませんので、選択の自由が制限されたという問題も起こりません。

このように日本の家族法は、他の諸外国と比べて遅れています。世界が「自由を尊重して、個人で選択し、責任を負う」方向に着実に進んでいるのに、日本ではいつまでたっても「夫婦、親子は一体」「同じ姓を名乗って、お父さんは仕事、お母さんは家事」といった家族像がなかなか壊れません。

2010年の国勢調査の「日本の世帯形態」の速報値ですが「夫婦と子ども」「夫婦のみ」「一人親」「一人暮らし」「三世代同居」という家族形態のなかで、一番多いのは「一人暮らし」の約32%です。「一人暮らし」という「個人化」が増えた背景には、高齢の一人暮らしと単身で仕事を頑張っている若い世代の急増があります。次に「夫婦と子ども」が、約28%。その後は、「夫婦のみ(20%)」、「三世代同居(10%)」、「一人親(8%)」と続いていきます。ちなみに、1985年の調査では、「夫婦と子ども」が40%、「一人暮らし」が21%、「三世代同居」が19%、「夫婦のみ(14%)」、「一人親(6%)」です。過去の調査と比べ、現在は「家族の多様化」と「個人化」が進んでいることが分かります。

この傾向が続くと、現在の家族モデル(夫婦と子どもで暮らし、夫婦で役割は分業)が少数派になってくる可能性もあります。にもかかわらず、その家族モデルを法律の基本に設定するというのは、現実に合っていないように思います。

このような現実と向き合い、個人の生き方の多様性に合わせた制度が成立されるよう研究者として、取り組んでいきたいと考えています。


Q:読者の方へのメッセージ


もし今回のインタビューを通じて、家族法に興味をお持ちくださいましたら、拙著「家族と法?個人化と多様化の中で?」(岩波新書2007年)をぜひお読みください。自分で言うのは少し気恥ずかしいですが、エッセンスが詰まっていますし、伝統的な家族観という固定観念を捨てて、一度頭をほぐして現実を見てみるという内容になっています。

編集者が書いてくれた「多様な生き方への励ましに満ちた家族法入門の決定版」というコピーは気に入っています。法律は、何かトラブルがあったり、悩んだりしたときに支えてくれるものである必要があります。そういう気持ちで書きましたので、ぜひご一読ください。

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いかがでしたでしょうか。

家族のあり方や個人の生き方は、時代や社会の状況によって変化していきます。規定の枠に収まる人だけが救われるのではなく、多様化する個人に対応した法律を定めていくことの重要性を改めて認識したインタビューとなりました。

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▼編集後記▼

先日、本学の情報理工学部が主催するプログラミングコンテスト「ICT Challenge+R 2012」を見学してきました。本コンテストは、全国の高等学校・大学にから次世代の情報化社会を担う若者を発掘し、主体的で積極的に活動する学生のチャレンジの場を提供することを目的に、高校生部門と大学生部門に分かれ、2日間に渡り開催されました。

大会当日は、協賛企業から派遣された審査委員と情報理工学部の教授陣の前で、自らが考え、作成したプログラムについてプレゼンテーションを行い、最優秀賞をめざして競いあいました。

高校生部門は、昨年に引き続き2回目の開催であり、全国各地から22作品の応募作品が集まり、最終選考会には選ばれた10作品(17名)が臨みました。大学生部門は、本年が初開催ということもあり、本学の情報理工学部や理工学部に所属する学生を中心に応募が集まり、最終選考会には、9作品(12名)が出場しました。

当日の詳細や受賞作品は、下記サイトをご覧ください。

(高校生部門)http://www.ict-challenger.jp/announcement.html
(大学生部門)http://www.ict-challenger.jp/next.html#announcement
(学園記事) http://www.ritsumei.jp/pickup/detail_j/topics/11061/date/9/year/2012

スポンサーの各企業様からは下記のようなご感想をいただきました。

・出場者の技術レベルが高く、驚きました。高校生は、既成の枠にとらわれない独創的な作品が多く、大学生は、実用性に優れた作品が多いのが特徴的でした。

・プログラミングに興味のある学生にとって、自分の作品を発表できる場が少ないのが実情です。今回のようなコンテストを目標に、ぜひ積極的に挑戦してもらいたいです。

・エンジニアとして「何かが足りない」と思ったら、「自分で作ってみよう」という意識が、何よりも大切です。プログラムを作る過程を通じて、つくる楽しみを知り、実際に使ってもらう楽しみ、ユーザーからの反応で更に進化していく楽しみを経験してもらえたらと思います。

エンジニアという仕事の社会的な価値を感じるとともに、FacebookやGoogleのように、世界の仕組みを変えるような新しいプログラムを作れるエンジニアが輩出されるくらいレベルの高い大会になることを願っています。

(立命館CLUB事務局 森山)

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▼読者プレゼント▼

★第12号読者プレゼント★

今回の読者プレゼントは、立命館LIFEのススメでご紹介しました二宮周平先生の著書、「家族と法?個人化と多様化の中で?(サイン入り)」を1名様にプレゼントします。

プレゼントをご希望の方は、下記必要事項を明記の上、立命館CLUB事務局までメールにてご連絡ください。
なお、プレゼントの抽選結果は次回号でお知らせします。

<応募締切:10/8(月)>
応募先:立命館CLUB事務局(rclub
st.ritsumei.ac.jp)を@に変更して送信
応募必要事項
(1)名前: (2)プレゼント送付先住所: (3)電話:(4)二宮先生へのメッセージ(簡単で構いません):(5)今回のメルマガ内容に関する感想(簡単で構いません):(6)プレゼント発表時の氏名公開:可  否(否の場合はイニシャルで表記いたします。ご希望のペンネームがございましたらご連絡ください。)

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▼第11号読プレ当選発表▼

第11号の読者プレゼント、当選者の発表です。今回も多くのご応募、ありがとうございました。

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★かいちゃん (京都府)   ★
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おめでとうございます。
プレゼント到着まで今しばらくお待ちください。

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次回配信予定は10月12日(金)です。お楽しみに。
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