植物の繁殖を支える“花粉”の運命決定の原理を紐解く
研究概要
花粉は、花粉管を伸ばす運搬役の“栄養細胞”と、その中に存在し卵細胞と受精する“精細胞”から構成されます。この極めて異なる2種類の細胞機能こそが植物の生殖・種子形成を支えていますが、その運命決定や分化メカニズムには多くの謎が残されています。そこで本研究では革新的なスクリーニング技術を駆使することで、これら2種類の細胞への分化分裂に関与する遺伝子を網羅的かつハイスループットに同定します。そして得られた包括的な知見をもとにして、植物の細胞運命を決める共通原理の理解を目指します。
コメント
採択されたプロジェクトは試行錯誤が必須の挑戦的なもので、まさに長期に渡りご支援いただける、創発だからこそ取り組める研究です。元村グループは2024年に独立した新しい研究室です。最長10年間ご支援いただける恵まれた環境の中で、様々な技術開発を行いながら、視野を広げた異分野融合研究を通じて研究を推し進めます。そして植物のオスである"花粉"が支える植物の繁殖現象の解明に取り組み、食料増産など重要な社会課題の解決に向けた基盤となることを目指していきます。
図1.実験植物シロイヌナズナの花粉の発生
シロイヌナズナの花粉は、小胞子から2回の細胞分裂を経て成熟する。花粉が内包する精細胞をメスへと運んで受精することが、植物の繁殖に重要である。緑が精細胞の核、マゼンタが花粉細胞の核。
図2.実験室中のシロイヌナズナの様子
ここから花粉を回収、様々な実験に用いる。