
アーキアがもつ始原的クロマチン構造の理解と操作に向けて
研究概要
我々ヒトを含む真核生物のゲノムDNAは、種々のタンパク質とともにクロマチンと呼ばれる構造体を形成することで、自身の機能を高度に制御しています。真核生物の起源となった原核生物群「アーキア」は、このクロマチン構造のプロトタイプをもつことが示唆されています。本研究では、アーキアがもつ始原的クロマチンの構造と機能を解明することで、クロマチンの進化に迫ることを目指しています。また、クロマチンの人為的制御を介してアーキアゲノムを操作することで、アーキアがもつ極限環境耐性や独自の代謝経路の強化・応用を目指しています。
コメント
アーキアにはまだまだ不明な点が多く、その始原的クロマチン構造を研究するためには多くの試行錯誤が欠かせません。幸いなことに、最大10年間の支援を受けられる創発的研究支援事業に採択いただき、また2025年度からは立命館大学で自身の研究室を立ち上げる機会にも恵まれました。このような環境を最大限に活かし、アーキアの研究に腰を据えて取り組んでいく所存です。また、アーキアは極限環境への適応能をはじめとするユニークな性質を多数有していることから、これらの有用形質を応用する術も積極的に模索していきたいと考えております。

図1.本研究で使用する超好熱性アーキアThermococcus kodakarensis

図2.DNA配列決定技術を応用したアーキアクロマチンの三次元構造解析