清輝楼~広小路学舎の歩み

明治維新、日清戦争を経て、社会が急速な近代化の波に洗われていた頃、本学は勤労青年のための夜間学校「京都法政学校」として誕生しました。5年の後、学祖・西園寺公望は、かつて自ら設立するもわずか1年で消滅した私塾「立命館」の名を、中川小十郎に託したのです。

大正時代に校友会の支援によって専門学校から大学へと昇格した立命館は、その後着実に成長します。昭和の声を聞く頃からは次々に校舎の建設がなされ、第2次大戦期こそ事実上の授業中止を余儀なくされたものの、終戦後は「平和と民主主義」の理念のもとで全学一丸となって急速な復興・発展を見せました。

1960年代の高度成長期には、新しい時代に即した教学展開を目指して経営学部・産業社会学部を開設しました。しかし狭い広小路学舎にひしめきあう学生たちの教学環境の改善を図るべく、衣笠キャンパスへの一拠点化が決断されました。

広小路学舎での校舎建設は、1962年に経営学部棟として建てられ、3年後に産業社会学部棟となった恒心館をもって終わりました。経済・経営、産社、文と、順に衣笠への移転が進み、最後まで広小路に残った法学部も、1981年、広小路を去りました。80年間に10万人の校友を送り出した広小路学舎は惜しまれつつ閉校しました。

現在は京都府立医科大学のキャンパスの一部となって、「立命館学園発祥の地」の石碑が当時を伝えています。

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年表・校舎竣工年
  • 1900年 中川小十郎、私立京都法政学校を旅亭清輝楼を仮校舎として設立。
  • 1901年 広小路に校舎新築、移転。
  • 1905年 西園寺公望、立命館の名称使用を許諾。
  • 1908年 校舎焼失。翌1909年再建校舎竣工。
  • 1919年 全国校友会結成。
  • 1922年 大学令による“大学”への昇格を果たす。
  • 1925年 立命館文庫(図書館)開館。
  • 1926年 養性館竣工。
  • 1927年 盡心館竣工。
  • 1928年 存心館および付属建物竣工。
  • 1933年 京大事件(滝川事件)。京大を退官した18氏を招聘。
  • 1936年 中川会館竣工。
  • 1945年 第2次世界大戦終戦。
  • 1946年 立命館土曜講座開始。
  • 1948年 新制立命館大学発足。法・経済・文の3学部に独立拡充。
  • 1949年 文学部棟(第二新館)竣工。
  • 1950年 大学院棟、鴨川運動場竣工。
  • 1952年 立命会館(学生会館)竣工。
  • 1953年 研心館竣工。興学館(養性館を90度回転)竣工。
  • 1954年 存心館4階建てに。
  • 1957年 清心館、尚学館竣工。
  • 1958年 体育館(鴨川畔)、敬学館竣工。
  • 1961年 有心館竣工。
  • 1962年 経営学部開設、恒心館竣工。
  • 1965年 経済・経営両学部衣笠へ移転。産業社会学部開設、基本棟恒心館。
  • 1968年 大学紛争発生。
  • 1970年 産業社会学部衣笠へ移転。
  • 1978年 文学部・二部全学部衣笠へ移転。
  • 1979年 学園本部衣笠へ移転。
  • 1981年 法学部衣笠へ移転。広小路学舎閉校祭典開催。
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衣笠キャンパス黎明期

第2次世界大戦が始まった1939年、満州国で活躍する技術者の養成を目的として、理工学部の前身である立命館日満高等工科学校が開設されました。キャンパスは衣笠山のふもと、松林の広がる静寂の地でした。これが衣笠キャンパスの始まりです。

戦後、1949年に新制立命館大学の理工学部として再出発を切り、その発展とともに現キャンパスの西側を中心に教室や実験棟が建設されていきました。1950年代に建てられた3号館、2号館は、1994年の理工学部BKC移転後も2000年まで残っていましたが、キャンパス西側の再整備により姿を消しました。

これも今はありませんが、1948年には衣笠球場が造られました。学生も松林の開墾を手伝ったそうです。1950年代前半にはプロ球団・松竹ロビンスの本拠地にもなり、公式戦も行われていました。

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年表・校舎竣工年
  • 1939年立命館日満高等工科学校開校。1号館竣工。
  • 1942年日満高等工科学校、立命館大学専門学部工学科に昇格。同理学科開設。
  • 1948年衣笠球場竣工。
  • 1949年新制立命館大学理工学部発足。数学物理学科・化学科・電気工学科・機械工学科・土木工学科の5学科。いずれも一・二部あり。
  • 1954年理工学部3号館竣工。
  • 1956年理工学部2号館竣工。

衣笠キャンパス発展の軌跡〜現存する校舎を竣工年順に追う 1960年代

この時期に建った校舎には、元は理工学部の校舎であり、後に改修されて用途が変わったものが多くあります。

1960年代半ばから、経済・経営学部(ともに1965年)を皮切りに広小路からの移転が始まり、キャンパスが賑やかになりましたが、後半には大学紛争が起こりました。そんな中でも槌音は響いていました。

衣笠キャンパス発展の軌跡〜現存する校舎を竣工年順に追う 1960年代 MAP
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年表・校舎竣工年
  • 1961年 有心館…旧・理工学部4号館。現在、教室棟。
  • 1963年 興学館…旧・理工学部5号館。現在、エクステンションセンター自習室。
  • 1965年 以学館…元は経済・経営学部。2000年から産業社会学部棟。食堂、多目的ホールなども。
  • 1965年 恒心館…旧・理工学部6号館。産業社会学部基本棟を経て、2000年から国際関係学部基本棟。
  • 1966年 啓明館…旧・理工学部新1号館。現在は主に文学部の学生共同研究室や実習室など。
  • 1966年 修学館…個人研究室棟(1972年 2期工事、1977年 3期工事、1990年 増築(4期))。
  • 1967年 図書館…図書館、マルチメディアルーム。
  • 1969年 第1体育館…体育館、トレーニングルーム、道場。

衣笠キャンパス発展の軌跡〜現存する校舎を竣工年順に追う 1970年代

キャンパス西側から東側に、徐々に校舎が建っていきます。教室棟に加えて、食堂や学生支援関連の施設なども新築され、いっそう大学らしくなっていった時期です。この間に、産業社会(1970年)、文(1978年)学部および学園本部(1979年)が移転してきました。

衣笠キャンパス発展の軌跡〜現存する校舎を竣工年順に追う 1970年代 MAP
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年表・校舎竣工年
  • 1970年 学而館…元は産業社会学部棟。現在は大学院施設、サービスラーニングセンター、障害学生支援室など。
  • 1973年 学生会館…学生のサークル部室、練習施設、ホール(1978年 増築)。
  • 1974年 志学館…教室棟。保健センターなど。元は経済・経営学部が主に使用。
  • 1976年 諒友館…旧・理工学部7号館。現在、食堂。教室棟。
  • 1977年 清心館…文学部基本棟。
  • 1979年 研心館…教室棟。キャリアオフィス、エクステンションセンター、学生オフィス、スポーツ強化センター等、学生支援機能が集まる。
    至徳館…元は学校法人本部棟。キャンパスインフォメーション。会議室など。入学センター、情報システム課、教育開発支援課、教務課。

衣笠キャンパス発展の軌跡〜現存する校舎を竣工年順に追う 1980年代

法学部が広小路から移り(1981年)、衣笠一拠点化が完成しました。また社会の情報化・国際化の進展に鑑み、理工学部情報工学科(1987年)、国際関係学部(1988年)が開設されました。これを受けて学内の情報基盤や交換留学制度の整備等が進み、また女子学生や留学生の姿も多く見られるようになりました。キャンパスの雰囲気が大いに変わった時期でした。

衣笠キャンパス発展の軌跡〜現存する校舎を竣工年順に追う 1980年代 MAP
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年表・校舎竣工年
  • 1981年 存心館…法学部基本棟。
  • 1981年 第2体育館…競技場、サークル部室。
  • 1983年 末川記念会館…末川名誉総長メモリアルルーム、ホール、レストランなど。1999年松本記念ホール陪審法廷開設。
  • 1988年 西園寺記念館…元は国際関係学部基本棟。2004年ら2006年まで法科大学院施設。現在は、衣笠セミナーハウス、百年史編纂室。
  • 1988年 洋洋館…旧・理工学部新4号館。1994年から政策科学部基本棟。
  • 1988年 尚学館…個人研究室棟。
  • 1989年 尽心館…個人研究室棟。マルチメディアルーム。

衣笠キャンパス発展の軌跡〜現存する校舎を竣工年順に追う 1990〜2000年代

理工学部がBKCへの拡充移転を果たした年(1994年)に、衣笠には政策科学部が誕生しました。また、独立研究科や「21世紀COEプログラム」に採択されたプログラムの研究の場となるような、最先端の教育研究施設が次々と建設されていきました。映像学部棟充光館も完成し(2007年)、中央広場は洗練された風情の建物で囲まれています。

衣笠キャンパス発展の軌跡〜現存する校舎を竣工年順に追う 1990〜2000年代 MAP
衣笠キャンパス発展の軌跡〜現存する校舎を竣工年順に追う 1990〜2000年代 イメージ
年表・校舎竣工年
  • 1990年 明学館…教室棟。衣笠国際センター、京都国連寄託図書館も。
  • 1992年 アカデメイア立命21…国際平和ミュージアム、中野記念ホール、衣笠セミナーハウス。2005年立命館孔子学院開設。
  • 1999年 アート・リサーチセンター…有形・無形の芸術・文化に関する、デジタルテクノロジーを活用した研究施設。
  • 2001年 創思館…主に人間科学分野の研究拠点、大学院施設、カンファレンスルーム。
  • 2002年 ランゲージセンター…言語教育センター、言語習得センター。
  • 2004年 敬学館…教室棟。
  • 2006年 歴史都市防災研究センター…文化遺産の防災に関する研究施設。
  • 2007年 充光館…映像学部基本棟。