テレビや新聞で報道されている内容から、被災地はまだまだ厳しい状況であると想像しています。瓦礫撤去がすすむ中で、ここからますます復興への取り組みが必要であり、関心を寄せなければならないと思っています。
私自身、茨城県で生まれ育っているので、地震には慣れていると思っていましたが、昨年の秋に仙台市で行われたあるシンポジウムに参加した際の地震がとても衝撃的でした。揺れの程度は震度3だったのですが、初期微動なしで、突然、建物全体が突き上げられたような直下型の地震でした。それまで経験したものとは異なる直下型の恐怖を体験したことで、それが頻繁に起こる中での復興がどれほど難しいことかを実感しました。また、被災している人はもちろん、復興に携わっている人々が、いつ起こるか分からない地震への恐怖や将来への不安にさらされながら長期的に暮らすことが、心理的に苦しい影響を与えているのだと分かったのです。
私が担当するキャンパスアジア・プログラムでは、一学期は広東外語外貿大学、二学期は立命館大学、三学期は東西大学と、キャンパスを移動しながら共同授業を履修していきます。立命館大学で学ぶ二学期に、中国・韓国の学生と共に被災地へ向かおうと考えています。今はまだ、計画段階ではありますが、日本の学生だけではなく、中国や韓国の学生も一緒に、被災地や被災された方の生活を自分の目でみて、何かを感じてほしいと思っています。
私は、広東外語外貿大学で学ぶ一学期に、中国と韓国の学生に向けた日本の歴史に関する授業をします。ちょうど3月11日にはその授業があるので、東日本大震災について話し合い、考えてみたいと思っています。「震災」は、今まさに日本が直面している問題であり、今の日本を語る上で重要な問題だと思います。被災地を見ることなしに、今の日本を学んだことにならないのではないでしょうか。東日本大震災は、日本だけではなく、東アジアの「歴史」になるだろうと思います。だからこそ、日中韓の若い人たちに“何か"を感じてもらいたいと考えています。