2019/05/24 いずみ♡

空間充填 平行多面体の元素PentadronとSTLファイル形式

三次元空間の操作の復習と 立体のデータファイル形式の勉強がてら、 平行多面体の元素 Pentadron の３Ｄプリンタ用データを作成してみた。

３Ｄプリンタ用 Pentadron データ

pentadron_y.stl   pentadron_x.stl

適当に拡縮して出力する。 4cm : 3cm : 2cm にしてから、 凧型？盾型？の四辺形を底面にして出力すると良い。

Pentadron とは？

空間を埋め尽くすことができる平行多面体は５種類あり、 そのすべては Pentadron と呼ばれる立体図形で構成することができる。

• 秋山仁, 『平行多面体とその元素ペンタドロン』, 数研通信, 84号, pp.2-5, 数研出版, 2015年12月.

  動画 11MB

Pentadron の作り方と３次元座標

• 一辺の長さがℓの正六面体を考える。
• XYZ直行座標系に置く。 頂点を O=(0, 0, 0), X=(ℓ, 0, 0), Y=(0, ℓ, 0), Z=(0, 0, ℓ), U=(0, ℓ, ℓ), V=(ℓ, 0, ℓ), W=(ℓ, ℓ, 0), P=(ℓ, ℓ, ℓ) とする。
• 平面OXPU (平面 z=y) で立体を切る。
• 平面OYPV (平面 x=z) で立体を切る。
• 平面OZPW (平面 y=x) で立体を切る。
• 対角線OPの垂直二等分面 (平面 x+y+z=√3/2 ℓ) で立体を切る。
          動画 7.8MB
• これらの平面分割により、立体が１２個の部分にわかれる。
• 各部分は鏡像関係の２種に分類できる。 ここでは、XY平面に接しX軸を含むものをX型、Y軸を含むものをY型と呼ぶ。
      動画 10MB
• ℓ=4 のとき、各部品の各頂点の座標は次のとおり。

  Ｘ型	Ｙ型
  (0,0,0)	(0,0,0)
  (4,0,0)	(0,4,0)
  (4,2,0)	(2,4,0)
  (3,3,0)	(3,3,0)
  (2,2,2)	(2,2,2)
  (4,1,1)	(1,4,1)

STL ファイル

STL (Standard Triangulated Language) は立体のデータファイル形式である。 Facet という三角形の面のデータを羅列し、立体を表現する。 バイナリ形式とテキスト形式がある。 以下ではテキスト形式について、 例(pentadron_x.stl)と当頁筆者が確認した内容を記述する。

solid ASCII
  facet normal 0 0 -1
    outer loop
      vertex 0 0 0
      vertex 4 2 0
      vertex 4 0 0
    endloop
  endfacet
  facet normal 0 0 -1
    outer loop
      vertex 0 0 0
      vertex 3 3 0
      vertex 4 2 0
    endloop
  endfacet
  facet normal -1 1 0
    outer loop
      vertex 0 0 0
      vertex 2 2 2
      vertex 3 3 0
    endloop
  endfacet
  facet normal 1 1 1
    outer loop
      vertex 2 2 2
      vertex 4 2 0
      vertex 3 3 0
    endloop
  endfacet
  facet normal 1 1 1
    outer loop
      vertex 2 2 2
      vertex 4 1 1
      vertex 4 2 0
    endloop
  endfacet
  facet normal 0 -1 1
    outer loop
      vertex 0 0 0
      vertex 4 1 1
      vertex 2 2 2
    endloop
  endfacet
  facet normal 0 -1 1
    outer loop
      vertex 0 0 0
      vertex 4 0 0
      vertex 4 1 1
    endloop
  endfacet
  facet normal 1 0 0
    outer loop
      vertex 4 0 0
      vertex 4 2 0
      vertex 4 1 1
    endloop
  endfacet
endsolid

• 行単位で指示文を書き連ねる。
• 全体を solid と endsolid で挟む。
• その間にfacet（三角形）の記述を並べる。
• facetは facet と endfacet で挟む。
• facetにはその面の法線ベクトル normal を記す。方向は立体の外側とする。
• facetに三角形の頂点の座標を与える。
• 三角形は outer loop と endloop で挟む。
• 頂点 vertex は外側から見て反時計回り、法線に対して右ねじ方向の順に書く。
• 座標系は右手系（右手親指がＸ軸、人差指がＹ軸、中指がＺ軸）である。
• 数値は、整数(例 100)でも小数点付き(例 100.000)でも指数形式(例 1.000e+02)でも構わないようだ。(*1)
• 法線ベクトルの長さは正規化しなくても構わないようだ。(*1)
• 各行のインデント（先頭の空白文字の数）を変えるとエラーになるようだ。(*1)
(*1) 処理系に依存するかも

３Ｄプリンタ用おまけ

• Pentadronの格納ケース (Pentadron 12個、立方体 C1) … C1_case.igs
   
• Pentadronの格納ケース (Pentadron 36個、六角柱 C2) … C1_case.igs
   
• Pentadronの格納ケース (Pentadron 48個、切頂八面体 C3) … C1_case.igs
   
• Pentadron複数出力用設定 (Pentadron 6個, XYZprinting da Vinch nano 用) … pentadron_x_6.3w   pentadron_y_6.3w