ようこそ高倉・峯元研究室へ!
立命館大学ホームページへ

球状シリコン太陽電池

 球状シリコン太陽電池は、1980年代にアメリカの企業によって新しい低コスト太陽電池の方式として、半導体の結晶粒子を直接高純度金属シリコン原料から作製し、
この粒子を基盤にはり付けることにより低コスト化をしようと検討された太陽電池である。この時点においては、球状シリコンの製造コストが莫大となることから普及しなかったが、現在、太陽電池のモジュールコストの3分の1を占めるシリコンの使用量を大幅に低減できる方法として注目されている。


 球状シリコン太陽電池は直径1mmの球形をした結晶系シリコン太陽電池である。主な特徴としては、1)溶融シリコンを滴下させ球状化させるため生産性が高い。2)シリコンの切削工程が無いため原料が少なくてすみ、低コスト化が可能。3)結晶系シリコンを用いるため変換効率が比較的高く、またアモルファスのような光劣化が無い。4)表面積が大きく、光に対する指向性が少ない。5)小形化しやすく、曲面形状モジュールへの展開が可能。などが挙げられる。さらに、この球状シリコン太陽電池を全面に敷き詰めるのではなく、カップ型の反射鏡(高反射材料)に実装することで変換効率の向上、シリコン使用量の低減が可能となる。これら多くの長所を持っているが、まだ研究・開発中で実用化には至っていない。実用化に向けて結晶性のよい球状シリコンの製造法、球状シリコン太陽電池の高効率化、大量生産可能な製造法の確立が必要不可欠である。


 到達目標とすべき開発コンセプトは、従来の平板結晶系シリコン太陽電池に比べて1)シリコン基盤の製造コスト1/5以下を目指す。2)シリコン原材料の1W当たり使用量1/5以下を目指す。3)製造プロセスのエネルギー消費量1/2以下を目指す。4)同等の性能・信頼性の実現を目指す。5)フレキシブル対応のモジュールを作成可能とする。である。
 現在、球状シリコン太陽電池は開発・事業化に向けて株式会社クリーンベンチャー21、フジプレアム、立命館大学高倉・峯元研究室で共同研究を行っている。クリーンベンチャー21では高効率セル化要素技術開発、超高速球状シリコンの製造技術開発、球状シリコン太陽電池セルの量産を、フジプレアムでは球状シリコン太陽電池モジュールの製造・販売を、立命館大学では球状シリコン太陽電池の結晶解析、高効率セル化要素技術開発を主に行なっている。