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Cu(In,Al)S2薄膜太陽電池の研究開発

Egの異なる半導体(太陽電池材料)を積層し、短波長光から長波長光まで順番に太陽光スペクトルを吸収させることにより、現在の太陽電池の主流であるSi系太陽電池の約2倍の高い変換効率を実現することが可能になる(理論上は、5〜6積層で変換効率40%が試算されている)。 そこで、本研究ではフルスペクトル多接合型太陽電池を実現するため、トップセルとなるワイドギャップ硫化物系カルコパイライト薄膜太陽電池(Eg=1.9-2.3eV)の研究開発を行っている。 材料として、Egを1.5-3.5eVに制御可能なCu(In,Al)S2(CIAS)薄膜を検討する。

これまで、国内外を問わず、高効率カルコパイライト薄膜太陽電池はCu(In,Ga)Se2(CIGS)によって実現されている。 CIGSの最高効率はEgが1.2eVで得られており、太陽電池の理想Egである1.4eVよりも小さい。 この現象については諸説があるが、その原因一つに、「CIGSはEg=1.2eVで結晶格子のc軸とa軸の比(軸比)が2に近づく」という点が挙げられる。 閃亜鉛構造が2つ縦に重なり、III族元素が交互に周期的に並ぶといった構造を持つカルコパイライト系化合物では、その構成元素によって軸比が本来の2からずれる。 この軸比のずれが結晶に歪を与え、半導体物性を低下させる可能性がある。 この点において、CIASはワイドギャップ領域で軸比が2あるいは2以上に制御できる唯一のカルコパイライト材料である(図1)。

本研究の達成目標は、H21年CIASシングルセル(図2)で変換効率 2%(Jsc:5mA/cm2、Voc:0.7V)、H22年CIASシングルセルで変換効率 5%(Jsc:7mA/cm2、Voc:1.1V)、 H23-26年透過型(トップセル用)CIASシングルセルで変換効率 10.5%(Jsc:7.7mA/cm2、Voc:1.6V)である。


   
図1 CIAS太陽電池の構造


図2 Egに対する軸比(c/a)の変化


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