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低倍率集光型薄膜フルスペクトル太陽電池の研究開発
革新的な太陽電池の開発として、積層型の太陽電池開発が挙げられる。 現在研究開発が進んでいる薄膜型太陽電池の技術を応用し、複数の薄膜太陽電池を積層させる。 単接合太陽電池では太陽電池変換効率26~30%が限界であるが、 さらなる高効率化の実現に向け波長感度帯域を拡大するためバンドギャップの異なる材料からなる太陽電池を多層に積層した多積層型の太陽電池を開発する。 3~4接合の非集光型で変換効率42~46%、集光型で52~55%の高効率化が期待できる。 多接合太陽電池の高効率化のためには、構成材料の選定が重要となる。 現在、太陽電池開発においてセルの評価基準として、基準太陽光下での公称変換効率を用いている。 これは、単接合太陽電池における客観的な評価基準となっている。 しかし、多接合太陽電池の場合、構成材料を各セルごとに開発を行う。 その際、現在の太陽電池効率は開発目標値とならない。
そこで本研究では、目標となる多積層セルのバンドギャップ構成及び各セルの目標となる太陽電池特性を算出する事を目的とした。
目標となるバンドギャップを提示することによって現在開発段階であるワイドギャップセルのバンドギャップ開発目標を提示することによって
現在開発段階であるワイドギャップセルのバンドギャップ開発目標を提示する。
また、シミュレーションを用い、現状の太陽電池作製技術を考慮した実現可能なセルの太陽電池特性目標、及び積層時の達成可能太陽電池特性を提案する。
基準太陽光スペクトルの算出
太陽電池の測定には、基準となる太陽光がある。
地上用太陽電池ではAM1.5で100mW/cm2の入力パワーとなっている。
これは国際電気規格基準化委員会(IEC: International Electrical Committee)のTC-82 (Technical Committee-82)で決定されている。
通常、この測定条件で求めた効率が公称効率として学会での発表や、太陽電池カタログでの公表に使用される。
IEC60904-3 Ed.2において示されている条件を基に、
アメリカ合衆国NREL(National Renewable Energy Laboratory)が開発したSMARTS Version 2.9.2を用いて基準太陽光スペクトルを作成した。
そのスペクトルから算出した各バンドギャップでの太陽電池セルの出力限界電流値を求めた。
PSPICEによる薄膜フルスペクトル太陽電池の回路シミュレーション
PSPICE(擬似回路シミュレーションソフト)を用いて太陽電池の挙動を等価回路に置き換え、 シミュレーションすることで、積層時の達成可能太陽電池特性と各セルの目標特性値の提案を目標としている。 具体的には、 算出した基準太陽光スペクトルから求めた各太陽電池セルの出力電流値やダイオードパラメータ等の 各パラメータをPSPICE上で作成した太陽電池の等価回路上に入力し、シミュレーションによってJ−Vカーブ求め、 太陽電池特性を解析している。