政策分析技法入門 第12講 (2000年6月29日)



第12講 回帰分析2−−回帰式の導出

講義の目的

1.回帰式導出に必要な数学的予備知識(偏微分の概念)
2.回帰式の導出

1.2変数の関数と偏微分

  2変数x,yの関数 z =(x,y)

について、この関数を y =(一定)として、だけの関数として微分するとき、
これをについて「偏微分する」という。
(x,y) を「xについての偏導関数」という。 ・・・一般の微分の「f'(x)」に相当
 例題:z = ax + bxy + cy
= 2ax + by
= bx + 2cy
xx = 2a
xy = b
yx = b
yy = 2c
  が最大値・最小値をとる条件
1.1階偏導関数はともに同時に0でなければならない。すなわち、 = z = 0 である。
 このことは、任意の点において、関数が増加的でもなければ減少的でもないということを意味するものである。
 このような点は臨界値と呼ばれる。・・・一般の微分の「極値」に相当するものである。

2.臨界値において求められる2階偏導関数(xx および zyy)が、
   最小値であるためにはともに正(xx,zyy > 0)、
 また最大値であるためにはともに負(xx,zyy < 0) でなければならない。
 このことは、臨界値においてこの関数が主軸との関係において右上がりの場合には最小値を、右上がりの場合には最大値を示す。

3.臨界値における2階偏導関数の積の値は交差偏導関数の2乗の値よりも大きくならなければならない。
 すなわち、xxyy xy である。
 このことはこの関数が単に主軸に対してでなくどの方向からみても極値にあることを保証している。
 

  ここでは、関数の形から、2、3の条件は既に満たしているものとし、1の条件についてのみ考える。
 

2.回帰式の導出
 


 「Σ」の部分は実際の値(i,yi )であるから、これにより、a,bの値を決定することができる。
 なお、ここで、分母の「5」という数値はサンプル数を示しており、n個のサンプルではnとなる。
 


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