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「相互理解を広げたい」
立命館大生らが留学生向けに本出版

 

 立命館大文学部の学生たちが、留学生に知ってもらいたい日本についてまとめた「留学生のための日本事情入門」がこのほど、文理閣(京都市下京区)から出版された。東アジアの留学生と実際に議論しながら執筆しており、「本を通じて若い世代から相互理解を広げたい」という。

 執筆したのは、桂島宣弘・文学部教授(日本近世史)の「アジアにおける日本研究ゼミナール」を受講した学生25人。桂島研究室の留学生とともに2003年度から2年間かけてゼミや合宿を重ね原稿をまとめた。

 「中国や韓国などでは、日本の製品や政治家は知られていても、市民の暮らしや文化は伝えられていない」と桂島教授。学生たちは、相互理解のために何を知ってもらいたいかを考えながら構成を検討した。「日本語の日常表現」「食生活」「現代日本の音楽映画事情」「日本の政治と経済」など硬軟とりまぜた話題を、学生の視点から27章に分けて解説した。

 中国や韓国、台湾などからのゼミ以外の京都在住の留学生との交流会も重ね内容を練った。法律問題や学生生活など留学生の関心事を盛り込み、「最近流行の音楽や映画を知るためには?」「デートでどこにいっているの?」などをQ&Aで掲載した。本文は日本語で、英語、中国語、ハングルの要約がついている。

 執筆メンバーの向井理絵さん(22)=大学院言語教育情報研究科修士1年=は「伝統芸能や伝統文化など自分が知らないことも多かったし、留学生の国の文化をもっと知りたいと思うようになった。本を読んで若者同士で語り合うきっかけにしてもらえれば」。桂島教授は「留学生だけでなく日本の人にも読んでいただき、何を発信したらいいのか考えてほしい」と話している。2100円。