UNICEF Innocenti Research Centre, Report Card 10 Measuring child poverty 2012より作成
<解説>
相対的貧困者とは、その国の全人口の所得の中央値の半分未満の者を指しています。OECDの定義では「等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯人数の平方根で割ったもの)が全人口の中央値の半分未満の世帯員」を指します。日本は、OECD34カ国中、下から9番目に相対的貧困率の高い国です。
<解説>
相対的貧困率はOECD(UNICEFも同様)と同じ算定方法によって、厚生労働省が2009年に始めて過去の分も併せて発表しました。国民生活基礎調査
に基づき、3年毎に実施される大規模調査の結果をもとに算定していますので、データが3年毎となっています。2012年には、国民全体の貧困率よりも子ど
もの貧困率の方が上回るという事態になっています。2012年度では、等価可処分所得の中央値が244万円(名目値)、貧困線が122万円(名目値)、
1985年を基準とした消費者物価指数で調整した中央値が221万円(実質値)、貧困線が111万円(実質値)となっています。また、厚生労働省が数値を
発表したのが2009年であり、子どもの貧困に社会の注目が集まるようになったのも近年ですが、実は、過去から相当比率で子どもの貧困率があったことも見
てとれます。
貧困率の高い世帯は次のように分析されています(阿部彩『子どもの貧困Ⅱ』(岩波新書、2014年))。まず、ひとり親世帯に属す
る子どもの貧困率が高く、母子世帯の貧困率が50%以上、父子世帯の貧困率が30%以上です。また、母子世帯の母親は8割以上が就労しており、他の先進国
に比べて就労率が高いのですが、半数が非正規就労であり、ワーキングプアが多い特徴があります。さらに、子どもが三人以上の世帯で貧困リスクが高く、親の
学歴が中卒の場合には貧困率が半数近くになっています。