実験物理学セミナー(1回生実験)

私たちの研究室では、主に”波動”に関して理解を深めるという趣旨でこのセミナーを開講しています。波動は分野を問わず理論物理、実験物理、地球物理など多くの場所で使われています。高等学校では、基本的な波の性質(反射、屈折、干渉、回折)や定在波の出現などを学習してきました。しかしここでは、もう一段レベルを上げ、波動ベクトル(kベクトル)を導入して、より一般的に平面波・球面波の性質、波の重ねあわせと波束の形成、波束と不確定性関係、そして波の回折現象などを学習します。その後各自で実際にコンピュータを使い、波のシミュレーションをやって理解を深めてもらいます。使用する言語は科学技術計算用に開発されたFORTRANを使います。そして最後に、各自で作製したスリットを用いたレーザーの干渉実験をし、回折パターンの解析をします。

これは、2005年前期の実験物理学セミナーで補助的に使用していた手引きです。こんな感じで進めています。参考にしてください。

実験物理学セミナーの手引 1
実験物理学セミナーの手引 2
実験物理学セミナーの手引 3
実験物理学セミナーの手引 4

物理学特別実験T・U(3回生実験)

私たちの研究室では、前期はイオン散乱分光の基礎と電子線回折の基礎を学習した後、Fortranを用いて、基礎的な散乱、回折、水素原子の電子雲のシミュレーションをやってもらいます。

具体的には、電子による核電荷の遮蔽効果を無視できる場合(非遮蔽クーロンポテンシャル)と遮蔽効果を考えた場合(Moriele型、ZBL型ポテンシャル)のイオンの散乱軌道を描きそれらの違いを考察します。イオン散乱では当然入射粒子としてはイオンを用いるわけで、そのド・ブロイ波長は原子間隔に比べて非常に小さいので、波動性は無視でき散乱問題を古典力学で扱うことができます。2体衝突問題はどの力学の教科書にも載っており、非遮蔽クーロンポテンシャルの場合には解析的に解くことができます。また、一般的には初期条件を与えればニュートンの運動方程式を数値的に解くことでイオンの散乱軌道を描くことができます。このホームページの表紙のイオンの散乱軌道アニメーションも同様のアルゴリズムで書けます。(もちろん実験の時はJAVAではなくFortranです)

しかしながら、電子の場合には波動性は無視できなくなり、イオンと同様な軌道を描くことは困難になります。ここでは、波の重要な性質である回折現象にスポットを当て、固体物理でならった逆格子空間やフーリエ変換の考え方などを復習しながら、各自で実際に波の回折のシミュレーションをやってもらいます。

そして最後に、水素原子に対するシュレーディンガー方程式を解析的に解き、その波動関数から各状態の電子雲を棄却法によりプロットしてもらい原子のエネルギー準位に対する理解を深めてます。

後期では、まだ未定なところがありますが前期同様にイオン散乱、電子線回折、光電子分光の基礎を学んでもらうことに加えて、進度に応じては実際にイオン散乱の実験をやってもらうことも考えています。いずれにせよ、1回生の力学の復習をしっかりとやっておくことが必要です。

これは、2004年後期の3回生物理学特別実験Uで補助的に使用していた手引きです。こんな感じで進めています。参考にしてください。直感的な分かりやすさを重視したため、厳密性に欠く記述が多々あります(とくに電子波動関数の解釈の部分など。実感しにくいですが、Bornの確率波解釈が一般的です)。

物理学特別実験の手引

卒研配属(4回生ゼミ)

物理科学科では、例年3回生の秋頃(12月上旬)に卒業研究の仮配属をします。表面物理研究室に配属を希望した人は、3回生の後期試験後からゼミを開始します。

まず、4回生の夏まではイオン散乱の基礎、電子線回折の基礎、そして光電子分光の基礎を徹底的に勉強します。ゼミは輪読形式で L.C.Feldman と J.W.Mayer らが著した "Fundamentals of Surface and Thin Film Analysis" の第1章から第9章あたりまでを読みます(年度によって変更あり)。その中で、私たちの研究の中で必要となる事柄を習得してもらいます。輪読が終わり次第、各自で研究テーマを決め、実際に研究活動に入っていきます。9月の中旬には、エポック立命21を借りて1泊2日のゼミ合宿があります。ここでは、1人ずつPowerpointを使って卒業研究の中間報告をしてもらいます。そして2月の中旬に最終報告会があり、1年間の研究成果を発表します。ここで、よい成果の上がった人は更に賞金の懸かった父母懇プレゼンテーション(2月下旬)で発表できます。

誤解している学部生が多いようですが、私たちの研究室はあくまでも実験系です。学部実験ではシミュレーションを中心にやっていますが、私たちはほぼ毎日SRセンターで実験をやっています。(SRセンターの中で1番多く実験をしているビームラインの1つだろうと僕は思う!)実験の好きな人は、一度覗いてみてください。計算機の得意な人は、なお大歓迎!!

例年4月〜6月頃まで、大学院生が講師となり卒研生対象のカルチャー講座を開講しています。その中で、実験に必要な知識や解析技術などを学びます。また毎週出させる課題を考え、発表することにより自らの理解を深めます。

卒研配属に際し、質問や見学はいつでも大歓迎です。
表面物理研究室はエクセルTの2F上がってスグ!