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2017年度講演会・第18回総会・懇親会報告

2017年6月25日(日)、京都ロイヤルホテル&スパにおいて2017年度立命館大学法学部同窓会総会が約110人の参加を得て開催されました。
久岡康成会長の挨拶の後、総会に先立ち本学文学部名誉教授の東山篤規氏による【股のぞきの研究】と題する講演会が開かれました。

東山篤規氏による講演
東山先生は、「触覚と痛み」と「空間知覚」を研究テーマに、長年にわたり人間の感覚・知覚に関する研究を行ってこられました。去る2016年9月には、「光学的・身体的変換視野の効果(股のぞき効果)」に関する研究で、第26回イグノーベル賞知覚賞を受賞されました。 今回の講演では、豊富な実験データをグラフや写真にまとめて、とても分かりやすくご紹介いただきました。

講演の冒頭、私たちは日常「網膜軸」「重力軸」「視環境軸」という「3つの軸」を前提にものを見ている、と説明されました。この条件のなかで、同じ長さの棒が「T」字型に組み合わさっていた場合、縦が長く見えるか、横が長く見えるか。これは、錯覚のクイズなどでよく見かけると思いますが、人の目には縦のほうが約30%長く見えるのだそうです。これを「垂直水平錯視(すいちょくすいへいさくし)」といいます。

では、例えば斜めにしてみたり、ひっくり返してみたりと、最初に説明のあった「3つの軸」の条件を変えると、見え方も違ってくるのではないか?こうした『問い』から、この研究はスタートしました。
実験を重ねていくと、軸の一部の関係が一致しているときには残っていた錯視が、すべての軸の関係が離れてしまうと錯視が消えてしまう、という研究結果が得られたのだそうです。

さらに、風景を逆転してしまったら…いよいよ、ここから「股のぞきの研究」に迫っていきます。3つの軸の関係を離す、これを体で実践したのが、まさに「股のぞき」だったのです。 「股のぞき」で見える景色には、錯視が消えることに加え、色が鮮やかに見える、平面のように奥行きがなくなるように見える、という特徴があることがわかってきました。これは、19世紀の文献にも似たような記述が残っており、日本でも、戦中から戦後にかけて似た研究がされていました。
これらの効果を観光資源に生かしたものの代表的な事例が、国内では「天橋立の股のぞき」というわけです。海外にも、似た事例があることもご紹介いただきました。

この他、桂離宮の庭園に“天橋立”がシンボリックに表現されていることなど、ご専門の知覚の研究の枠を超えて、日本の公家文化に至るまで、幅広いお話をお聞かせいただきました。 また、「存心館」の縦横の比率を変えた図面をいくつかご用意いただき、どれが正解かというクイズも。参加された皆さんの多くは、やや縦長に調整された図面を選ばれました(つまり、不正解)が、これも「錯視」のなせる業だったようです。
この研究の成果が、いつの日か身近なところで応用されていくこともあるかと思いますが、その折には、東山先生の講演を思い出していただければ幸いです。

総会・懇親会
講演会に続いて開催された総会は、鬼籍に入られた方々へ、参加者全員の黙祷で始まりました。 続いて吉田美喜夫総長の挨拶が行われ、各種報告、新役員人事案を含む各種議案が承認されました。

懇親会では、開会宣言の後まずは全員で校歌の斉唱。続いて宮井雅明法学部長による乾杯挨拶があり、和やかに懇親会がスタートしました。今年も、進路選択に向けて各ゼミで中心的な役割を担う現役学生(プレイスメント・リーダー)の参加がありました。
お馴染みの景品抽選会の催しが行われ、今年出演の学生団体は「立命館大学応援団チアリーダー部」で、その華やかで力強い演舞には会場が一層盛り上がりました。チアリーダー部も共に応援歌グレーター立命を肩を組み合って全員で歌い上げ、懐かしく楽しいひと時に名残は尽きない中で閉会となりました。

広報担当幹事 嶋津雅彦・古角博子・仲弘一朗














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