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  • 伴走者として世界の舞台へ

産業社会学部 日野未奈子

ランナーの目になる。
見えなかった自分も、世界も見えてくる。

「伴走者として世界の舞台に立たないか?」
そう誘われたのは、彼女が走る楽しさを見失っていた頃。
障がい者スポーツ指導員の資格はあったが、本格的な競技者のサポートは初。
伴走者とは、視覚障がい者ランナーの目となり、走行をスムーズに誘導する者のこと。
知識以上に、走りのタイプやリズムなどの相性が大きなポイントになるが、
サポートする近藤さんとは、最初から息がピッタリ合ったという。
しかし、それだけで上手くいくほど甘くはない。
中距離専門の彼女は、マラソンに耐えうる走りを身につけなくてはいけない。
週2の練習には本番さながらの緊張感で臨み、ノートをつけ課題を克服していった。
体調管理も含め伴走中心の生活となり、自身の競技への取り組みや心構えも変わった。
「障がいがありながらも近藤さんの生き生きと走る姿に感銘を受けました」と語る。
これが互いの好循環を生み、
伴走を務める近藤さんは世界が目前に、日野自身も関西新人戦で優勝を飾った。
苦しみは半分に、喜びは倍に。ふたりならどんな未来も駆け抜けられるはずだ。