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  • 尽きることのない探求心

文学部 教授 東山 篤規

景色がひっくり返るだけじゃない。
股のぞきの解明で、イグ・ノーベル賞受賞。

「股の間から風景を見ると平面的に見えるのはなぜだ?」
有名なのは、日本三景のひとつ天橋立で起こる錯視。
海にあるはずの細く伸びた松林が、天にかかった橋のような構図に見える。
上下入れ替わった海と空の絶妙なバランスもあるが、
遠くのものは小さく縮み、平らで奥行きのないように見えるのが原因。
これが、視野の逆転か、上体の上下逆転によるものかはこれまでわかっていなかった。
東山は200人近くに協力してもらい、股からのぞいた場合と、
上下逆に見えるメガネを使った場合での、見かけの大きさや距離の違いを測定。
10年の歳月をかけて、頭を下にすることで錯視が起こることを実証した。
そして、昨年、「人々を笑わせ、考えさせた業績を称える『イグ・ノーベル賞』」を受賞。
「役に立つとは思っていない研究に賞をくれるなんて」と照れる一方で、
「周りからどう思われようと、自分が面白いと思えることをすることが大切」と語る。
彼はさらに研究を進め、重力が関係しているのではないかと考える。
次の目標は、宇宙飛行士に股のぞきをしてもらうこと。 
彼の好奇心は尽きることを知らない。