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  • 地図から未来を見る

文学部 准教授 河角 直美

地図に歴史を重ねていく。
それは、きっと未来の地図にもなる。

「京都は、戦前戦後の地図が数多く残された街の一つです」
しかし、これまで公開されていた地図はバラバラである上に、
名称が判別しにくく、使いづらいものだった。
彼女は研究室のメンバーと共に、A2サイズの地図約300枚をスキャンし直し、
貼り合わせてひと続きのデジタル地図に。
それに加え、縮尺や歪みを補正し、現在の地図と座標を重ね合わせ、
街並みを見比べられるマップを作り上げ、WEBで公開した。
「この地図データを用いた京都のまち歩きアプリもあるんですよ」
と自分たちの作った地図が活用されていることを嬉しそうに語る。
利用はそれだけではない。
過去の災害跡と照らし合わせた、水害、震災、土砂災害などの防災マップにも役立っている。
現在、手がけた地図をより視覚的にしようと、
研究室では寄贈された戦前戦後の写真数万点を地図と紐付ける作業が進行中。
さらに、古い写真や当時のエピソードなどを収集するワークショップも開催し、情報を蓄積し続けている。
「戦前を知る人の高齢化が進み、記憶を繋ぐ最後のチャンスかもしれませんから」と。
過去を知れば、未来が見えてくる。
単なる地図を越えた次代のプラットフォームを、彼女たちは作り続けていく。