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  • 世界で勝つための挑戦

産業社会学部 朝山 義隆

銅メダルは、ゴールじゃない、スタートだ。
本場に学び、本場を超える。

「日本でなら勝って当然という思いが、完全に空回りしました」
彼が取り組む武術太極拳。技のキレや美しさを魅せる採点競技だ。
中国から戻り、大いに自信をつけて臨んだ全日本大会で惨敗。
「きちんと自分を見つめろ、と言われた気がしました」
現地で、その技と意識の高さに刺激を受けたとはいえ1ヶ月そこそこのこと。
武術を極めるには、本来地道で長い修練が必要。
この苦い経験が、彼を謙虚にし、練習につぐ練習へと駆り立てる。
翌年、見事に全日本大会で優勝し、初の国際大会へ。
しかし、そこで世界との差をまざまざと見せつけられる。
プロを目指し厳しい環境で稽古に励む彼らに、並大抵のことでは追いつけない。
持てる時間のすべてを練習に捧げ、定期的に中国に赴き本場の技を吸収し続けた。
また、独自にフィジカルトレーニングも取り入れ、世界と渡り合える体に。
「体重も3〜4kg増え、技の力強さとキレが増しました」と語る。
その結果、昨年夏に開催されたユニバーシアードで、銅メダルを獲得。
ただ、「他の選手がミスした結果なので、まだまだです」と浮かれることなく、自身を見つめる。
見据える先は、表彰台の一番高い所にある。