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  • 平和のための研究

国際関係学部  教授  末近浩太

なぜ争うのか?なぜ武力に訴えるのか?
紛争を考えることは、平和を考えること。

中東の紛争の原因は『宗教』にあるのか?
この問いに末近は「宗教・宗派・民族が違っていれば必ず対立が起こる、
と考えるべきではない」と語る。
世界のどこでも、人と人との違いはある。ではなぜ紛争に至るのか?
「中東は、帝国崩壊後の長い混迷期にあり、
人々が納得できるルールや制度を模索している最中。
日本でも、幕末に志士たちが異なる考え方をぶつけあったように」と続ける。
紛争の裏にある様々な条件や原因を見なければ、決して問題解決には至らない。
中東の紛争は、外国からの干渉によって助長されてきたが、
現地の人々が権力闘争のためにそれを利用してきたという一面もある。
彼は言う。「紛争の背景を見極め、そのメカニズムを考えることは、
違いを持った人々が平和で自由に暮らせるかを考えること」と。
現在、シリアとイラクなどで大規模な現地調査を実施。
マクロとミクロの両方の視点から、紛争地で生きる人々の姿を捉えていくという。
「一人ひとりの顔が見えれば、安易に武力による解決など選べないはず」と末近。
憎しみや暴力の連鎖を断ち切り、新たな制度やルールづくりの一助となるべく、
彼は今日も研究に勤しむ。世界から紛争をなくすために。