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08.09

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2022

【寺脇ゼミで研究成果報告会を開催しました】


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私たちのゼミでは、7月30日にラルカディアのR101にて、「演習II」の中で取り組んだ研究成果を発表し合う研究成果報告会を開催しました。この報告会では、秋学期から新たにゼミに参加する2回生を招き、40人を超える参加者の中で、4つのグループがそれぞれの研究成果を報告しました。
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私たちは昨年度の「演習I」の中で研究テーマを決めました。ゼミのメンバー全員がそれぞれテーマ案を出し、その中から多数決で以下の4つのテーマを選びました。

・サステイナブルコーヒーの構成要素に関する消費者選好分析
・ワイルドクラフトコスメに対する消費者評価-オーガニックコスメとの比較から-
・高付加価値チョコレートにおける健康・環境・社会的配慮の価値評価
・間伐材を使ったケーキに対する支払意思額の計測-木の食用化の実現可能性-

これらのテーマの現状を春休みに調べ、春学期に入ってからはグループに分かれてアンケート調査を行い、得られたデータを分析して、その成果をこの報告会で発表しました。今回私たちが得た主要な研究成果は以下のように要約されます。

・サステイナブルコーヒーを構成するフェアトレード、オーガニック栽培、シェードツリー利用の3つの要素に対する支払意思額は、それぞれ順に66円(基準価格の18.7%)、110円(基準価格の31.5%)、47円(基準価格の13.4%)となり、オーガニックが最も高く評価される結果となった。この結果から、サステイナブルコーヒーの普及に向けてはオーガニック栽培に力点を置くことがカギとなり、「サステイナブル」と名の付く商品・サービスの今後の展開に向けて、環境を重視することの必要性が提案される。

・普通の化粧水を基準としたときのワイルドクラフト化粧水とオーガニック化粧水に対する支払意思額の平均値はそれぞれ基準価格の54.2%、55.6%となり、それらの間に大きな差は見られなかったが、実際にその化粧水を使ってみることで、各金額は約25%上昇することが示された。この結果から、試供品の提供や店頭での試用によりこうした環境・健康配慮型コスメ商品の市場拡大が見込まれる。加えて、支払意思額の分散も増加しており、それは試用によって人々の環境・健康配慮型化粧水に対する選好の多様性が現れたことを含意する。

・多様化する高付加価値チョコレートについて、健康問題に配慮した「高カカオ」、環境問題に配慮した「オーガニック」、そして社会問題に配慮した「フェアトレード」の各要素の価値を計測したところ、それらの金額はそれぞれ順に43円(基準価格の12.4%)、97円(基準価格の27.8%)、71円(基準価格の20.2%)と計測された。サステイナブルコーヒーと同じくオーガニック(環境配慮)が最も高く評価される結果となり、食品企業が取り組むCSR活動として、それを利益につなげるという点では、環境配慮に注力すべきだと提案される。

・普通のパウンドケーキを基準としたときの間伐材の粉から作られるパウンドケーキに対する追加的な支払意思額の平均値は-10.6円(基準価格の-8.8%)とマイナスに評価されたものの、間伐により森林の公益的機能が発揮されることを情報として与えると、その金額は10.7円(基準価格の8.9%)にまで上昇し、その評価はプラスに転じた。しかしながらその食味の情報を与えると、支払意思額の平均値は-26.1円(基準価格の-21.8%)と大きく低下する結果となり、その普及に向けてはとりわけ食感の改善が必要であることが示された。
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質疑では多くの鋭い質問や意見が飛び交って、活発な議論が展開されました。報告会後のアンケートでは、3回生からは「互いに意見を出し合うことで、自分では発見できなかった視点に気づくことができた」「プレゼンをする際に見やすいスライドの作り方を学ぶことができた」「その研究を行うに至った背景をしっかり説明できるようにならなければいけないと感じた」など手ごたえや反省の声が聞かれ、2回生からは「ゼミ全体で積極的に取り組んでいる姿が印象的だった」「自分も1年後に先輩方のように発表できるようになりたいと思った」「別のグループが研究を深める質問をされていて、お互いに高め合っている姿が素敵だと感じた」など前向きな感想が聞かれました。それぞれにとって意義のある充実した時間を過ごすことができたと感じています。
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これから私たちは、上記のグループで得た成果をもとにして、個人で論文を仕上げ、論文集の形でまとめる予定です。さらに「演習II」で得た経験を活かして、秋学期からの「演習III」の中で地域連携型のプロジェクトを立ち上げ、その実践に取り組みます。引き続きゼミ全体で協力して、秋学期も地域の発展に貢献するような研究成果をあげたいと思います。

経済学部3回生 平山直人

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