研究科長挨拶

Shigeru TAKAYAMA
高山 茂

立命館大学大学院 理工学研究科長

21世紀に入り20年以上が過ぎ、情報は瞬間的に世界を駆けめぐり、国境を越えた経済活動はますます活発化しています。我々の生活は多くの科学技術によって支えられ、今もなお豊かさは進歩し続けています。しかしながら、豊かな社会生活は地球温暖化をはじめとする環境やエネルギー等の問題を引き起こし、地球にとって持続可能な科学技術のあり方を考えなければならないという課題に直面しています。また国内にあっては国際競争力を維持するために科学技術力で新産業を育成し、イノベーションを創出する能力が求められています。複雑・多様化する21世紀社会の中で、こうした課題を解決していくための人材を育成していく理工系大学院教育に対する社会の期待はこれまで以上に高まっています。

理工学研究科の教育理念は理工学の専門領域に関する高度な理論と技術を修得し、創造的発見能力を兼ね備えた高度専門職業人や研究者を養成することにあります。そして、世界で活躍していくために、国際水準の専門的力量を備えた人材や、国際水準の研究を通して研究成果を世界に向けて発信できる人材を育成することにあります。理工系の学問分野は一般的に積み上げ的な側面を含んでおり、企業や社会が求める高いレベルに到達するには基礎部分での学びから初めて一定の期間と訓練が必要となっています。理工学研究科は専門領域で深い知識を獲得し、それを研究を通して実践的に応用展開する場です。研究活動を介して知識は自らの頭の中で再構築され、体系化されます。その事が、科学技術の最先端における諸課題を的確に捉え、創造的な解を導き出していくための大きな力となります。

理工学研究科では基礎理工学専攻、電子システム専攻、機械システム専攻、環境都市専攻の4専攻を設置しています。本研究科の大きな特徴は、教育理念の実現に応えることが出来る教授陣を揃え、教育・研究を進めるに必要な実験機器や設備等が充実している点にあります。また、産官学等の社会との連携を強化し、国や企業との共同研究を積極的に推進していることも特徴のひとつです。こうした研究力は国際的にも高い評価を受けており、学生も研究成果を国内のみならず、国際学会で英語発表をしています。さらにGRGPといった一定期間、海外の大学で研究を実施するプログラムを積極的に推進しています。理工学研究科には半数近くの学部生が進学し、日本を支える基幹の理工系企業や組織に就職し、最前線で中核となって活躍しています。そのために理工学研究科の教育システムは学部教育との接続性を重視したものとなっています。ますます深化・発展を遂げる科学技術とそれに伴って顕在化する諸課題。本研究科は現在、世界が抱える課題に対して深い知識や技術、見識を持って周囲をリードし、これを解決していく人材、更には新しい価値創造に向けて勇気を持って逞しく邁進し、グローバルに活躍していけるような人材を輩出することを目指しています。

立命館大学大学院
理工学研究科長
高山 茂