RS 学園通信 vol.127 座談会 学問のすすめ Student Report 特別企画 公費助成運動
October 2000 INDEX
 
 
全国私大中央請願行動に参加して
法学部3回生
井上 航(いのうえ・わたる)
文学部1回生
北村朝海(きたむら・あさみ)


2000年度の公費助成運動

今年度は私学助成請願項目の第一項目に「政府の高等教育予算をGDP(国内総生産)比で欧米先進国並みの水準に引き上げること」を掲げ、学部公助連を中心に取組みを強化しました。各学部では1回生を中心に、基礎演習クラスから公費助成推進委員を選出して教授会・事務室と連携して学生・教職員が一体となって署名活動をすすめました。教室での署名の呼びかけや、キャンパスでの昼休み署名活動など、全学公助連としてこれまで最高の40673名の署名を集めました。


秋以降に行われる
公助連の取組みについて

秋以降の全学公助連の行動計画は、公費助成の新たな形態として地方自治体との「公私協力」による助成を追求します。その第一は、奨学金制度の創設を京都市および滋賀県に請願します。(留学生奨学金制度を含む)第二は、京都市および滋賀県で学ぶ学生・留学生への優遇措置として、京都市営交通・文化施設・寺社拝観などの利用に際して、優遇措置(割引・無料化)や、イベント助成を請願します。
学部公助連の活動計画としては、学部企画による理論・学習活動として、講演会やシンポジウムを準備しています。




コラム・公費助成運動を通して新しい大学づくりを
公費助成を推進する
立命館大学全学連絡協議会代表
国際関係学部教授
安藤次男(あんどう・つぎお)

 

 

「『こうひじょせい』って何」から始まった
僕達の活動

「『こうひじょせい』って何?」……僕達の公費助成運動はそれを知ることから始まりました。この請願行動に参加することになったのは、北村さんはクラスの推進委員として、僕は自治会活動を通して、とお互いきっかけは異なっていましたが、私学の学費の問題には関心がありました。それでも請願に行くにあたって少し勉強をしてみると、大学の学費の仕組みや国の教育費については初めて聞くことも多く、その複雑さ、そして改善することがいかに難しいことかを知りました。だからこの請願行動を通じて、何か成果を得られればと思っていました。

 

請願当日の動き

7月7日、七夕の日、公費助成増額の実現を願いながら、僕達は朝早くに京都を出発し、午前中には東京、霞ヶ関の参議院議員会館に到着しました。会場には請願行動に参加している大学関係者が全国から集まっていました。その中で学生の姿はわずかでちらほら見受けられるくらいでした。

この請願行動は、直接国会議員に会って、学生生活の実態、大学の情勢を伝え、署名を渡し、私学助成増額に協力を得ることを目的としています。会場で開会行事を終えて、僕達はそれぞれの政党を訪れました。

北村さんが訪問した党で、応対してくださったのは、事務局の方で、最初から「私は何もわかりません。」と言われてしまいました。それでも深刻な現状をお話してお願いしたのですが、その反応をみるとやはり十分には伝わらなかったようです。

僕の訪れたのは、ある政党の副代表の議員でした。その方は自ら勉強したいといっていただけあって、しっかりと話を聞いてくれました。ただ、話を聞いてもらえたということは意味のあることだけれど、これが党全体に広がるかは疑問が残りました。実際に議員個人としては十分に問題視するが、党として考えていくかはわからないという返事を受けました。これらのことは初めて参加した僕達にとってはとても残念でした。それでも僕には東京にくるときから、どうしても伝えたいことがありました。僕はこの請願行動までの期間で自治会での活動を通して実際に署名を集めて回りました。しかし、署名運動中にすでに学費が払えず、大学を辞めた学生がいることを知りました。その人達がいれば、もっと重みのある署名になったに違いありません。僕はその話をして、署名とともにその人達の思いも一緒に受け取ってもらうようにお願いしてきました。このようして僕達は初めての中央請願行動の代表として役目を果たしてきました。

 

 

新しい問題意識の発見

そして、すべての請願行動を終えたあとで、僕達と同じ班にいた他大学の学生さんは「立命館は教職員と学生が協力して取り組めているのでとてもうらやましい。」といってくれました。僕達もそのことは強く実感しました。学生、教職員が一緒になって取り組むことが公費助成の前進へつながるのです。僕達は今回、勉強にいくつもりで参加したのですが、他の大学の現状を知ることもできて、新しい問題意識をもつことができるようになりました。

 

 

公費助成の活動を広げるために

しかし、多くの学生にとって公費助成というのはまだあまり聞きなれない言葉です。そもそも学費の重みそのものをわかっていない人のほうが多いかもしれません。こうした活動を大学で、そして全国で広めていく必要があると思います。

公費助成運動は確かに結果がすぐに見えてきません。だからこれからの公助連活動をすすめる上で大切なのは「形」にすることだと思います。こうしてみんなに伝えることがとても重要なはずです。僕達の中央要請行動の参加、そしてこのレポートが新しい公費助成運動のきっかけになればと思います。

 

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