立命館小学校

「多様性尊重」がなぜ大切か

今朝の全校集会では、「多様性を尊重すること」がなぜ大切なのか、について話しました。先日の「全校立命」の授業(立命館小学校には「立命科」という独自の道徳の授業があります)で、こちらの絵本を使って、学年別のテーマで「多様性」について考えつつ、異学年間で意見交流する取り組みがありました。今回は、それを受けてのお話、ということになります。

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このテーマ、まだ世の中で「多様性」とか「ダイバーシティ」といった言葉がまだ一般的でなかった20年以上前から、私自身が研究者としてずっと追ってきたものでもあるので、人一倍の強い思い入れがあります。さて、5分間という限られた時間で、1年生から6年生という幅広い発達段階の子どもたちに、何らか伝わる形で話すにはどうしたら良いものか、よくよく考え、最も基本的な二つのことを以下のように伝えました。

「一つ目の、多様性尊重が大切な理由は、それが一人ひとりのいのちを大切にすることと同じだからです。立命館小学校の「五つの誓い」の一つ目で、「わたしたちは、かけがえのない一人ひとりの命を大切にします」と言っています。命を大切にする、というのはどういうことでしょうか。ただ生きることができれば、それは人の命が大切にされているということになるでしょうか。私たち人間には、体だけではなくて、心と頭もあります。いろいろなことを考えたり、感情をもったり、こうありたい、こうしたい、と考えることが私たちの人となりを作っています。つまり、体だけではなくて、心と頭も含めた人としてのあり方を大切にすることができてはじめて、命を大切にしている、ということが言えるのではないかと思います。

二つ目の、多様性が大切な理由は、それが、私たちの新たな力になるからです。例えば、5人のグループで何かをするとき、全員が同じ考え方だったら、アイデアは一つしか生まれません。5人全員が同じ考え方ということはまずなありえませんが、一人の意見だけでみんなが賛成して、それで進んでしまったら、そのグループの力は一人分、ということになります。でも、5人がそれぞれに違う考え方や知識をもっていたらどうでしょうか。意見が分かれてまとまらなくて大変かもしれません。でも、それぞれの考え方を話し合って、違うものの見方をお互いに伝えあって、そうやって生み出されたアイデアは、一人の知識や考えの限界を超えて、全く新しいものになります。どんなグループも、多様性があった方が、いい成果を出すことができます。

ただし、これは、一つ目で言った、グループの中でお互いを尊重することができる場合にだけ、可能なことです。お互いから学ぼうという姿勢を全員がもって、そのように行動できる時だけです。私は、立命館小学校のみんなには、どんなチームに入っても、自分の考えと他のメンバーの考えを掛け合わせて新しいことを創り出せるような、そんな力を身につけて欲しいと思っています。そのために、これからどんなことをしてみたら良いのかそれぞれ考えて、また意見を聞かせてください。」

はたして、私の話はどのように伝わったのでしょうか。話を聞いた司会の児童は、「多様性ということが、一人ひとりの命につながっているということがわかった」という感想を述べてくれたのはとてもうれしかったです。私自身は、「多様性尊重」というテーマが、子どもたちの世界観の中ではどういうことなのか、もっと知りたいところです。


校長 堀江未来

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