立命館小学校

舞台の上の経験

2021-06-21

みなさんは、舞台の上で何かを表現することは好きですか。私は今でこそ、人前で講演をしたり、話をしたり、ということを「平気なふりして」やっていますが、子どもの頃はあまり得意ではありませんでした。

先週土曜日は立命館小学校の文化フェスティバルで、二年生と四年生の全クラスが、それぞれ舞台の上で表現活動を行いました。二年生は「スイミー」、四年生は「白いぼうし」をベースに、子どもたちがそのお話を読んで感じたこと、そこから広がる創作の世界を、個性豊かに展開していました。

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子どもたちが、舞台での表現を考え、話し合い、準備し、練習し、舞台の上で発表するという一連のプロセスから学ぶことは、とても多いと思います。自分たちの本番が終わった直後の子どもたちの様子を見にいくと、「緊張した!」「怖かった!」と言いながら、とても嬉しそうで自信にあふれた表情です。私がまだ何も言っていないのに、「ありがとうございました!」と近くに来て頭を下げる子たちもいました。見てくれてありがとう、ということなのだと思います。

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そういえば、立命館中高の校長をしていたとき、文化祭の演劇を見るのが好きでした。何がいいかというと、舞台の上で自分を表現しきることに躊躇しない生徒が多く、また観客席にいる生徒も応援の眼差しと姿勢で見ているというところ。みんな当たり前のようにしていますが、なかなか貴重な環境だと思います。舞台の上に立つときは、できる限りの準備をして、日常経験できないような緊張感をもって、それでも客席の人たちを信じて自分を表現すること。客席側にいるときは、舞台の上にいる人が力を発揮しやすい姿勢で臨むこと。どちらも、人生のいろいろな場面を生きていく上でとても大事なことです。

立命館中高で私が見てきたこういう光景は、おそらく立命館小学校の6年間で経験してきた舞台の上での取り組みを通して、少しずつ蓄積できた成果なのかもしれません。準備過程のごちゃごちゃも、先の見えない不安感も、突然気持ちが引き締まる感じも、舞台の上の異様なプレッシャーも、そこで発揮される自分の姿も、全部ひっくるめて豊かな学びです。そして、そんな冒険に満ち溢れた自己表現のプロセスを、安心して経験してもらえる学校でありたいと思います。

校長 堀江未来