研究総合テーマ
レジリエンス強化のための共創イノベーション拠点の形成

 環太平洋文明研究センターでは、立命館大学グローバル・イノベーション研究機構(R-GIRO)に採択されたプロジェクト「人類史的にみた災害・食糧危機に対するレジリエンス強化のための学際的研究拠点」の形成を目指し活動しています。ここではその概要を紹介しています。紀要『環太平洋文明研究』でもこれらテーマに関わる特集等を組んでいく予定です。

▼ 第4期R-GIRO研究プロジェクトの構成とキーワード

環太平洋生命文明圏

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第4期R-GIRO研究プロジェクト
人類史的にみた災害・食糧危機に対するレジリエンス強化のための学際的研究拠点

 ユヴァル・ノア・ハラリ(e.g.『サピエンス全史』、2016年)やジャレッド・ダイアモンド(e.g.『銃・病原菌・鉄』、2012年)の一連の著作が話題になり、人類が環境や気候変動に多大な影響をもたらした産業革命以後の約200年間を「人新世」と位置づける議論が興隆したりするなど、近年は人類史が空前のブームです。その背景には、温暖化や環境破壊が限界域に到達し、災害やパンデミックの頻発に危機感が増大していること、そして人工知能をはじめとするテクノロジーの進展に伴い、人類の未来を展望しにくくなっていることがあります。人類社会が岐路に立つ現代、気候変動に伴って頻発する食糧危機や災害に実効性のある解決策を見いだすためには、時間的・空間的スケールの大きな視座に立った研究拠点が必要です。しかしながら、特定の学問分野に立脚した議論はいたずらに危機感を煽ったり、デジタル革命によるユートピアを展望したりと、過去の自然環境と人類に関する実証的な見地から未来の展望を切りひらく道標を提示していないと批判されることもあります(cf. ボヌイユ&フレソズ『人新世とは何か』、2018年)。
 本研究プロジェクトは、環太平洋地域の環境特性とそこで育まれた独自の文明に立脚し、(1)古気候学・考古学・地理学・歴史学・人類学による過去の気候変動と災害・食糧危機に関する学術的に堅牢な実証を元にして、(2)資源地政学、テクノロジーマネジメントや情報工学、経営技術、都市政策の分野の研究者との協働により、現代の「災害・危機対応に対する人類社会のレジリエンスを強化する」ための実行力のある提言をおこなうことを目的としています。

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研究グループ

第1班:古気候学
研究テーマ 「人間の時間スケール」で見た気候変動と災害およびインフラ技術の歴史
代表者 中川 毅
総合科学技術研究機構 教授
研究概要  古気候学研究センターが開発した世界最新鋭のシステムを用いて日本及び中南米の気候変動を世界最高の精度で解明する。日本および中南米の災害に関わるインフラ技術を公共考古学・文化人類学の知見から分析する。
研究課題 1.年縞堆積物の理化学分析を通じた「暴れる気候」の実態解明
2.暴れる気候に対する応答としての社会インフラの変容
第2班:歴史学
研究テーマ 歴史的知見を生かした食リスク・災害リスク課題解決の提案
代表者 鎌谷 かおる
食マネジメント学部 准教授
研究概要  近世の日本を中心として、気候変動に伴う食糧生産の変容および当時の栄養状態を史料分析と毛髪の科学的分析をもとに解明する。土地の履歴から地震や洪水等のリスクを明らかにしてGIS地図化し、災害と人口動態との関係を超長期的に検討する。それを踏まえ、未来に生じうる食と災害のリスク可能性を減じるための提案をおこなう。
研究課題 1.歴史学と分析化学の融合研究による食リスクの歴史的解明
2.土地・空間利用のありかたから見た災害リスクの歴史的解明
第3班:資源地政学
研究テーマ 食料危機と災害克服の現在―グローバル/ローカルな視座からのレジリエンスの再考
代表者 宮脇 昇
政策科学部 教授
研究概要  現代の食糧危機に関わるグローバル・サプライチェーンの安定性・持続性に関わるリスクの分析、大規模自然災害に関わる脆弱性の析出を踏まえ、地球資源の衡平な分配・利用の仕組み、および災害に対する/からの復興におけるレジリエンスを明らかにし、危機や災害につよい持続的な社会の実現に向けた提言を行う。
研究課題 1.グローバル・サプライチェーンの安定性・持続性に関わるリスクと地球資源の分配と利用
2.気候変動および大規模自然災害に対するレジリエンスの実証分析
第4班:文化人類学
研究テーマ 食糧危機と災害の未来―文化情報のデザイン化とテクノロジー的解決の再検討
代表者 小川 さやか(プロジェクトリーダー)
先端総合学術研究科 教授
研究概要  第1から第3グループの研究成果を元にしたコミュニティ依存型の複声的なビジネスプラットフォームのデザイン手法、レジリエンスの人類史に関する地理空間情報プラットフォームを構築する。企業・自治体等によるテクノロジーを駆使した現行の食糧危機・災害に対する取り組みを調査・検討し、上記の手法・プラットフォームを用いて本プロジェクトの成果の社会的還元・社会実装化を目指す。
研究課題 1.文化情報に基づいた複声的ビジネスプラットフォームのデザイン手法の開発とその情報基盤構築
2.自然災害や食糧危機のテクノロジー的な解決の再検討と「文明」の再構築

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データベース

遺跡データベース


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