「地域を居場所の1つに」
深川光耀さん(2003年産業社会学部卒業、2005年社会学研究科修了)
京都市文化市民局地域自治推進室京都市まちづくりアドバイザー
京都市文化市民局地域自治推進室
京都市まちづくりアドバイザー
京都市まちづくりアドバイザー(以下、まちアド)」は、区役所とともに区民の自主的活動をサポートするまちづくりの専門家です。地域の想い(課題)に寄り添い、その想いを実現させるプロセスをデザインする仕事だと思います。そのため、地域に出向いて地域の方々とともに活動に取組むことが多くあります。
また、まちアドは、住民やその事業を直接担当する職員でもない第三者としてまちづくりに関わりますが、第三者の立場だからこそできることがあると感じています。中立的な視点で意見をまとめたり、地域に寄り添いながら、専門家としてアドバイスしていくことが私の役割だと考えています。
中京区まちづくり仕掛け人養成講座
現在、取組みの1つとして、立命館大学の学生のみなさんとまちあるきや取材を行いながら、中京区のまちづくり広報紙「マチビト来たる。」の製作を行っています。地域行事やまちづくりに参加してみたいけどその一歩がでにくいという方の、背中をポンと押すような広報紙になればと願っています。
今後は、立命館大学だけでなく他大学の学生も巻き込んだ活動を行う予定です。
中京区基本計画の冊子等
在学中は、乾 亨教授のゼミに所属し、40余年にわたり「住民主体のまちづくり」に継続して取り組んでいる神戸市長田区真野地区でのフィールドワークに熱心に取り組みました。真野は、カルチャーショックでしたね。下町という要素もありますが、地域の方みんなが親しい友達みたいで。私の地元は考えられない近所づきあいの濃さでした。当時、私は人にとっての居場所は、家庭や職場が主だと考えていましたが、地域が居場所になりえるのだと。そして、なりえたらこんなにすてきなことが起こるかと。だったら、地域が居場所になれる社会にしていきたいと思い、まちづくりに関わる仕事に就こうと決心しました。
それから大学院修了までの4年半、地域の行事のお手伝いや、会議に出席しながら多くのことを学びました。この真野での経験が、今でも、まちづくりの仕事をしていく上で大きな財産となっています。
【在学中】乾ゼミのみんなと
真野地区の寒餅つきの様子 お世話になった真野地区のみなさんと
これから地域でまちづくりに関わりたいと思っている学生は、まずその地域に足繁く通い「信頼」を得ることが何よりも重要です。そして地域に溶け込みながら、そこで一員(その場にいることが自然である状態)として認められることが大切になります。
地域に受け入れてもらうための秘訣、それは「笑顔」と「脇の甘さ」かもしれません。「脇の甘さ」というのは、「1人で何でもできる、隙のない人」でいようとするのではなく、ちょっと抜けたところがあるとか、普段はしっかりしているけどお酒を飲んだらグダグダな部分をもっているぐらいの方が、かわいがって受け入れてもらえます。本当は1人でできるだろうことも、共同作業で取組むといった気持ちも大切だと思います。
自分がワクワクすること、面白いと思うことも見つけてください。「やりたいこと」は「日常のやるべきこと」にどうしても埋もれてしまいがちですが、学生時代に多くのひとやまち、本に出会うこと、また死を見つめて人生を考えることにより、打ち込めるものが見つかれば、それだけでとても幸せなことだと思いますよ。
―取材後、中京区の広報紙の編集会議の様子を見学させていただきました。
広報紙のライターとして、会議に参加されていた三浦朋子さん(法学部3回生)は
「自治活動は行政だけではなく、地域の方の様々な『想い』によって成り立っているという事を、強く感じることができました。」と話されていました。
◆「マチビト来たる。」の編集員を募集中!!
中京区では、まちづくり広報紙「マチビト来たる。」を区民や学生のみなさんとともに
発行しております。学生で興味をお持ちの方は、下記までご連絡ください。
創刊号はこちらからご覧いただけます!
【お問い合わせ先】
京都市文化市民局 地域自治推進室 深川光耀さんまで
【℡】075-222-3049
- 取材・文
- 田中 遼(2012年3月産業社会学部卒)