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495 -  目に見えない障がいを伝えて

目に見えない障がいを伝えて

宮川結妃さん(文学部4回生)
国際プログラム(国際インスティテュート)専攻
聴覚障がいをもちながら、英語学習の困難を乗り越える

  • No.495
  • 2013年2月18日更新
高校生のとき、発展途上国に暮らす子ども達がゴミの山で働いていることを知り、その子ども達を支える仕事に就きたい、もっと海外について勉強したいと思い、立命館大学の国際インスティテュートを目指しました。国際インスティテュートは、所属する学部での専門科目に加えて、高度で実践的な外国語力と国際教養を身につけることができるプログラムです。

私は、生まれつき両耳の聴覚に障がいがあり、「他の専攻にしたほうがいいのではないか」と心配する声もありましたが、高校の授業では補聴器をつければ、授業中の先生の声も聞こえていたので、大学での授業も大丈夫だと思っていました。

しかし、大学入学後の授業では、どんなに頑張って聞こうとしても先生が何を話しているのかが、ほとんど分からなかったのです。特に外国語によるリスニングやスピーキングは私にとって非常に難しいものでした。自分の語彙力が原因で問題が分からないのか、障がいが原因で聞き取れていないのかの区別が難しく、また、その状況を先生に説明することも困難でした。聞こえない、聞こえにくいという現実に、とてもショックを受け、自分自身の障がいと向き合うことが本当に苦しい時期もありました。

そこで、私は学期の初めに各授業の先生方に時間を設けていただき、自分の障がいについての詳細や授業の中で配慮をお願いしたいことを文書に記してお伝えをしました。また、補聴器に電波で音声を送るFMマイクを使用してほしいとお願いしました。そうした働きかけにより、先生方も徐々に障がいについて理解してくださるようになり、授業の合間も気をくばってくださったり、リスニングテストを筆記試験などに変更してくださったりしました。


また、入学当初は、誰かの力を借りることに抵抗がありました。しかし、障害学生支援室の方に「人の力を借りることは、決して恥ずかしいことではないですよ」と言われ、障害学生支援室のパソコンによるノートテイクのサポートを積極的に活用するようになりました。ノートテイクは、私1人に対して2人のテイカーの方々がついてくださいます。テイカーの方々は、私を挟んで両側に座り、有線でつながれたノートパソコンをそれぞれ使用します。授業で先生が話す内容を、テイカーの方がパソコンに入力し、それが私のパソコンに表示されるようになっています。パソコンを3台並べて使っている私たちは、とても目立っていました。周りの視線が気になって、ノートテイクをやめようかと思ったこともありました。また、健聴者の方でも、会話の全てを聞き取り入力することが難しいということを知りました。そこで、少ない情報の中で何を得るかということを考え、自分の必要な情報や、テイカーの方の悩みについて、お互いの状況を確認しながら進めていくように心がけました。ディスカッションの場では、周りの学生のみなさんにも、どの程度入力が進んでいるか確認してもらったり、進行を調整してもらったりしました。多くの人の力を得て、学んでいるんだということを改めて実感しました。

2回生の夏、イギリスへ留学したときのこと。世界各国の聴覚障がい者が集うイベントに参加しました。そこで出会った人々と、声や手話だけではなく、ジェスチャーでコミュニケーションをとることができたとき、「言語にとらわれなくてもいいんだ!」という事に気付きました。外国人のみなさんの明るい性格やスキンシップの文化に触れ、自分の気持ちを積極的に表現できるようになりました。
 

国際インスティテュートの学びを通じて、今では、障がいがあったからこそ、多くの人と出会うことができたと思えるようになりました。英語のスキルだけではなく、積極性も身につけることができたと感じています。
聴覚障がい者は、外見の姿からは、障がいがあると気付いてもらえません。だからこそ、まず、どんな人にでも自分から自分の障がいを伝え、ためらわずありのままの自分を表現していくことが必要です。そして、知ってもらうこと、理解してもらうことが大切です。春からは、ICT(情報通信技術)関連の会社に就職します。音声を視覚情報でリアルタイムに翻訳できる端末機器があれば、障がいの有無に関わらず、気軽に会話ができるようになり、障がい者が自分の障がいを“障害”だと感じない世界をつくっていけると思っています。これからもどんな困難にぶつかっても、自分の夢に向かって諦めずに頑張っていきたいです。




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