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624 -  「自分らしい人生」を世界のスクリーンに映して

「自分らしい人生」を世界のスクリーンに映して

太田 茂さん(1998年法学部卒)

大学卒業後、仙台放送入社。
報道部記者や制作部ディレクターを経て、現在、企画制作部プロデューサー。
自身初の長編ドキュメンタリー映画を製作、全国公開中。

  • No.624
  • 2014年4月11日更新
大学1回生の時に起こった阪神淡路大震災をきっかけにマスコミ業界を目指すようになりました。それまでは「大人になったら世界中の貧しい子供たちを助けたい」と漠然と考えていましたが、目を向けるべきことや伝えなければならないことはもっと身近なところにあると考えるようになりました。2回生になるとき、経済学部から法学部へ転籍した結果、3年間で残りの単位を全て取らねばならず、結構ハードでしたが、それも良い思い出です。

地元東北の仙台放送に入社。最初に配属されたのは報道部で、警察担当の記者としてのスタートでした。事件や災害発生の一報を受けて現場に向かい、放送までに、取材や原稿作成に追われる日々でした。他の記者も同じだと思いますが、事件や災害の被害者の心境への配慮と、報道の責任との板挟みに苦しんだことが何度もありました。一方で、この仕事を通じて多くの魅力的な人たちと出会うことができました。そして、「世の中には報道されないニュースがいかに多いか」ということも学びました。報道の裏側には、多くの人生ドラマがあることを知ることができたのは、良い経験だったと思います。




今回、製作したドキュメンタリー映画『僕がジョンと呼ばれるまで』は、2011年5月から1年間、アメリカの高齢者介護施設を舞台に撮影したもので、薬を使わずに認知症を改善しようと挑戦するおばあちゃんたちの取り組みを通して、自分らしく生きることの大切さや家族の再生を描いた感動と希望の実話です。おかげさまで、海外の国際映画祭で最高賞を含む名誉ある賞を3回受賞し、先日、文部科学省選定作品にも選ばれました。そして2014年3月から、日本全国で上映が始まっています。



この映画では、主人公のエブリンさん(当時93歳)に、施設の若手スタッフであるジョンが毎日、優しく語りかけます。

-ジョン 「エブリン、僕の名前を知っていますか?
-エブリン「いいえ、分からないわ

認知症のエブリンさんは、ジョンが毎日自己紹介しても、名前を覚えることができません。でも、簡単な脳のトレーニングを続けることで、やがて大きな変化が訪れます。

私が作品を通して伝えたかったことは、「日本の脳科学研究の成果が、世界中の認知症患者とその家族に希望の光を与えようとしている」という事実です。そして、世界の人々に観ていただくためには、放送という枠組みにとらわれず、世界市場に流通しやすい映画にしたほうが早いと考え、長編ドキュメンタリー映画を製作することになりました。



この作品には、認知症という難しい病と向き合いながらも、自分らしく生きようと挑戦するおばあちゃんたちがたくさん登場します。映画をご覧になったみなさんが「今、自分らしい人生を歩んでいるだろうか?」と自問したり、大切なご家族に電話をしたくなるような作品になっていたなら、製作者としてこれほど嬉しいことはありません。

今回の映画は、最初から「海外への発信」を前提に製作しましたので、海外経験が豊富で、英語が堪能なスタッフを集めるところから始まりました。世界中の情報が瞬時に集まる今の社会では、「認知症」のような世界的なテーマでは特に、国境を越えた取材やコンテンツ製作が日常的に行われています。どの業界、仕事でも同じだと思いますが、今後は、さまざまな「境界を越えて」活動できる若い世代がさらに求められると感じています。




実は、今でもちょっとしたトラウマなのですが(笑)、学生時代、京都で一人暮らしを始めるにあたり沢山のアルバイトの面接を受け、ひたすら落ち続けた時期がありました。「君は接客業には向いていない」と言われたことも。この経験は、初対面の相手に心を開いてもらい、信頼関係を築くことがどれほど大切で、自分に何が足りないのかを見つめる大きなきっかけになりました。京都は、私に自分を見つめる機会をくれた街だったと思います。

大学4年間は、「何者でもない自分」に浸ることができる貴重な時間の積み重ねだと思います。社会で輝いている方々に出会うと、学生時間を「自由に」「やんちゃに」を満喫してきた方が多いように思います。学生のみなさんには、是非、今を大切に充実した生活を送っていただきたいと感じています。




映画『僕がジョンと呼ばれるまで
 (原題:Do You Know What My Name Is ?)』


アメリカンドキュメンタリー映画祭・観客賞受賞!
ロサンゼルス・ムービー・アワード・奨励賞受賞!
ベルリン国際フィルム・アワード・特別選考賞受賞!
クリーブランド国際映画祭・2部門ノミネート上映
ベルギー国際健康映画祭・高齢者福祉部門ノミネート上映


【上映中】
宮城 :フォーラム仙台       
3月 1日(土)~5月 2日(金)まで

東京 :東京都写真美術館ホール
3月 1日(土)~4月18日(金)まで

愛知 :伏見ミリオン座        
3月29日(土)~4月25日(金)まで

京都 :京都シネマ           
3月29日(土)~4月18日(金)まで


【今後の上映スタート地区(決定分)】

兵庫 :神戸アートビレッジセンター  
4月12日(土)~

山形 :鶴岡まちなかキネマ     
5月17日(土)~

静岡 :静岡シネ・ギャラリー      
5月31日(土)~

神奈川:横浜シネマジャック&ベティ 
5月31日(土)~

青森 :青森松竹アムゼ
6月28日(土)~


鹿児島:ガーデンズシネマ
7月19日(土)~



公式HP(www.bokujohn.jp)
公式FB(https://www.facebook.com/bokujohn)

  • 取材・文
  • 西山裕美(映像学部2回生)

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