インド人学生と
「人々の意識を変えるゴミ箱を作ろう」

私は2回生のとき、奨学金に出願したことがあります。サークルや研究会などの団体と学生をつなぐイベントがあればいいなと思い、「+R個人奨励奨学金」(当時)を出願しました。いざ奨学金に採用されると責任も生じるので、人も巻き込んで主催団体を作り、紆余曲折の末、イベントを開催することができました。この活動は今も続けています。
その後、大学からの短期留学プログラムでインドのニッテ大学へ行った私は、現地でゴミ問題に直面しました。分別どころかゴミ箱自体が不足し、回収されないゴミがあふれています。解決策はないだろうか。考えた私は、簡単な工作でゴミ箱を作り、アプリを利用して広告と連動するなど人々のゴミへの意識を高めるアイデアと共にプレゼンしたのです。それを聞いたインド人学生が、最近東南アジアで見られるハイテクなゴミ箱を紹介してくれたことをきっかけに、IoTを応用して、人々のゴミに対する意識を変えられるようなゴミ箱を一緒に製作しようという話になりました。これが今回の活動の出発点です。

インドでの実用化を最終目標に、開発を継続中

3回生の前期から、インド人学生と連絡をとりつつ構想を固め、デザインの研究や実験を行ってきました。技術面では、捨てられたゴミの量をセンサーで把握し、回収業者がそのデータを端末で確認できるシステムを製作中です。適切なタイミングで回収に行けるので、効率化、省力化が期待できます。コストダウンのための工夫もしています。
夏には奨学金を利用して再びインドへ。製作したプロトタイプを持参し、プレゼンとディスカッションを行いました。私の知識や技術が足りない部分は、IoTに強いインド人学生に教えてもらいながら、今も開発を進めている最中です。できれば今年度中に学内で試験的に導入してもらい、結果をインド側と共有して内容をブラッシュアップし、将来的にはインドで実用化したいと考えています。ゲーム感覚のアプリ連動や、ゴミ発電のシステムなどにもこれからチャレンジしいきたい。それまでは活動を継続させる予定です。

エンジニアとしてもレベルアップできた

私は、物理科学科所属のため、IoT関連の技術について正課の授業で詳しく学んだわけではありません。しかし、ゴミ箱をつくるために必要な技術としてそれを自ら学んだり、インド人学生に教えてもらったりして身につけることができました。これは、エンジニアとして、とても良い経験であると思います。
英語も勉強していますが、インド人学生の英語を100%聞き取ることは難しいです。でもSNSならスムーズにコミュニケーションがとれるようになりました。そして今、インドに長期滞在してみたいという思いが芽生えています。日本人に合わせた留学プログラムではなく、本当のインドを体験し、製作にも活かしたいという気持ちです。

モチベーション面でも活動を後押ししてもらえる

入学当初の私は、授業と自宅の往復だけの生活で、積極的に人と関わろうとしていませんでした。友人の誘いでロケット研究会に加入し、その後奨学金を利用してイベントを成功させる体験をしたことがきっかけで、一人ではできることには限界があることを学び、人を巻き込むことを経験して、今ではメンバーの動機づけのためにプロジェクトマネジメントまで学んでいます。当初の想定とはまったく違うところに学びが広がっていると感じます。
海外の大学生と一緒にものづくりをすることも、当時の私には想像もできませんでした。しかも「距離があるから無理」ではなく「ITを使えばできるかも」という積極的な気持ちで取り組めたことに、自分自身でも驚いています。
アイデアをゼロから形にしていくのは簡単なことではありません。自分自身でモチベーションを管理するのも大変です。しかし奨学金を利用すれば、他の受給者の進捗状況を知る中間報告会もあり、エンジンをかけ直すことができますし、奨学金受給者として話を聞いてくださる校友会の方もいます。やりたいことがあれば積極的に出願すべきです。採用されることによって、費用面でも、モチベーションの面でも、活動を後押ししてもらえますから。

一覧へ戻る