インタビュー

Q&A

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大学院では、肝臓癌の新規治療法として有用であるとされている、マイクロ波加熱治療法の研究に取組む。大学院修了後は、研究していた「電気」という分野を生かしたいという思いから、人間生活に必須となっている電気の供給源”発電所”に携わるべく、三菱日立パワーシステムズ株式会社(当時は日立製作所)に入社。現在はプロジェクト受注後の社内外取りまとめを担当している。

理工学研究科
創造理工学専攻電子システムコース修了
三菱日立パワーシステムズ株式会社所属工学研究科
環境都市専攻所属
浦田 雅子

三菱日立パワーシステムズ株式会社所属 浦田 雅子
大学ではどんな研究をされていましたか?

電気電子工学科を卒業し、論理だけでなく実験にも重点を置いている電磁波工学研究室に所属しました。当時は病院にかかることが多かったため、医療装置に関する研究を希望し、大学院生時代には肝臓癌の新規治療法として有用であるとされているマイクロ波加熱治療法を研究しました。
マイクロ波加熱とは、「300MHz~3,00GHz電磁波の作用で誘電体を主として分子運動とイオン伝導によって熱を発生させて加熱すること」(IEC:国際電気標準会議による定義)であり、家庭用電子レンジの原理と似通ったものです。この研究について、複数回にわたり国際学会に参加することもでき、とても充実した研究生活を送ることができたと思います。

なぜ、現在の職場を選ばれたのですか?

大きな機器を作りたい、また大学で研究していた電気という分野を生かしたい、という思いから、人間生活に必須となっている電気の供給源”発電所”に携わるべく、発電所建設プロジェクトを遂行している弊社(当時は日立製作所)に入社しました。
発電方法には原子力・水力・太陽光等、多くの分野がありますが、火力発電分野を選んだ理由は、発電所の契約形態の柔軟性がある為です。原子力発電はEPC(設計から建設、試運転まで一括受注)がメインであり、1つのプロジェクトの開始から終了まで10年以上かかります。しかし、火力発電は機器の設計・製造のみでわずか2~3年で完了することもあり、プロジェクトの始まりから終わりまでを一貫して自分自身が経験することができます。やはり自分の携わる仕事は、最初から最後まで責任をもって取り組みたい、見届けたいという思いが強かったため、現在の職場を希望しました。

今のお仕事の内容は?

入社以来、プロジェクトマネジメントを遂行する部署に配属され、プロジェクト受注後の社内外取り纏めを担当しています。現在はターンキー(機器サプライに加えて据え付け工事を含む)案件の蒸気タービン納入とFOB(機器サプライのみ)案件の蒸気タービン&ボイラー機器納入の2つを主に担当しています。
前者は現地懸案の取り纏めや現地顧客対応などがメインであり、定期的に現地懸案を確実に解決させるために出張します。後者は設計懸案や顧客要望の取りまとめをし、毎月開催される顧客との打ち合わせに参画します。
また、プロジェクトマネジメント能力の向上と効率化を目指した社内横断的な取り組みとして、プロジェクトマネージャの右腕となる効率的なツールの開発にも携わっています。

仕事をしていてやりがいを感じたことは?

日本だけではなく、様々なバックグラウンドを持った人々と出会う事ができ、毎日が発見の連続だと感じています。言葉は通じなくても、発電所を完成させるという意識を持っていれば、図面をとおして会話ができるということ、そしてどれだけ遠く離れていても実際に足を運び、現地にて工事に携わっている人々や顧客と面会することで、よりスムーズなコミュニケーションがとれることを実感しました。
こうして人とのつながりができるほどに、自分の知らなかった世界が広がっていく感覚を持つことができます。広がりを感じられたり、自分自身が人とのつながりの中で成長できていると実感したりするときが、私にとっていちばんうれしい瞬間です。この瞬間があるから、どんな苦労があってもそれを乗り越えられるのだと思います。

今後の目標は?

「世界」を足場にして活躍するプロマネになりたい、これが私の目標です。
 これまではプロジェクトマネジメントや入金書類の作成等、営業寄りの仕事に携わってきたため、今後は設計や試運転の業務について理解を含めて、それらの工程の状況を把握し、必要な指示やアドバイス、他行程との調整などにも積極的に対応しながら、プロジェクト全体をまとめられるようなプロマネになっていきたいと考えています。
 技術的な力だけでなく、様々な国や地域、文化をバックグラウンドに持つ人々と共に、同じ目標に向かっていけるようなチーム作りができるようにならなければなりません。
 いずれも一朝一夕に身につけられる力ではないため、今取り組んでいる案件一つ一つに対して真摯に取り組むと共に、求められている以上のこと、プラスアルファの成果を自分なりに出していくことを意識していきたいと思います。

最後に、理系死亡の女性に一言

私の初めての担当プロジェクトはエジプトでした。宗教上の理由からか、日本よりも女性の就業率が低く、出張に行くと常に珍しいものを見るような目で見られました。ですが、逆に目立つことで名前を憶えて頂けたということがその後の業務に役立っているように感じています。海外でのプロジェクトは言葉の違いだけでなく、文化や考え方、常識の違い等、一つの国で育ってきた人にとって理解し難い面もありますが、ぜひ一度、地球の裏側の国へ飛び込んでみることをお勧め致します。
また、海外案件に限らず、火力発電事業は社会への貢献度合いが高い仕事だと私は思います。仕事を通じて成長でき、達成感を感じられる、それだけでなく社会の人々がよりよい生活をすることにつながっていく、そんな仕事はどこででもできるものではないと思います。ぜひ、自分が人生をかけて取り組んでいきたいテーマを見つけて、そのために全力で邁進していってほしいと思います。