実習内容としては次の二つが挙げられる.
私にとっての実習の意義として,日本での生活と同じようなことを海外でやるとどうなるか体験してみることが挙げられる.私は現在水中ロボットの研究をしており,研究主体の生活を送っている.実習先も同じく水中ロボットの研究を行っているため,今回の実習先としてふさわしいと思い,参加することを決めた.また,アメリカは軍事産業や海底産業が盛んなため,日本に比べて水中ロボットの需要が多い.これらの産業がどのようなロボットを欲しがっているのかを知り,私たちが考えているものとのずれを認識することも実習の意義であった.
実習先の研究室は,ドクター一人と三回生一人という極めて少人数なところであった.その分,先生との距離が近く,コミュニケーションがとりやすい雰囲気があった.今の研究室はそのようなスタイルではないため,これには大変驚いた.
研究の取り組み方にも違いがあった.私は現在,一つの研究テーマに対して一人で自分の好きなペースで進めている.しかし,実習先では研究室全体で複数の研究テーマを素早くこなしている印象を受けた.素早くというのは,資金提供者である軍や研究所の望む期間内に相手が満足するものを完成させなければならないというところから来るものだと感じた.社会に出ると今のようにマイペースで仕事を行うことは不可能であり,複数の仕事を定められた期間内に行うことが求められる.スピードの重要性を痛感させられた.
他にも,実際に海軍の方の話を聞くと,海軍が欲しがっているロボットと私たちが考えているものとの違いはあまりなかった.例えばビジュアルサーボで不審船を追跡といったものである.しかし現場でロボットを使うとなると,そこに詳しくないと分からないような様々な問題が生じるだろうということも提言してもらえた.研究を進めていく上でこのような貴重な意見をもっと集めて行く必要があると感じた.
実習先ではみんな規則正しい生活を送っていたため,私もそのスタイルで生活していた.研究室では学生も先生も一緒に議論をしており,活気があっておもしろかった.ただ夕方5時を過ぎるとみんな帰ってしまい,一人でさみしく研究をしていた.宿は寮を使うことができた.日本では一人暮らしのため,新鮮でおもしろかった.
コミュニケーションについてだが,研究室では以前川村研在籍していたPandian助教授が多少の日本語を交えてお話してくれたが,私は極力英語で話しかけていた.他の人とは全て英語で会話していた.寮でも非英語圏の留学生が多く,共通語の英語で会話をしていた.このように一日中英語で会話しないといけない環境であったため,英語は上達したと思う.ただし,会話の全てを理解して言いたい事も全て言えたとはとても言えず,歯がゆい思いを何度もした.英語の勉強をする必要があると痛感した.
ニューオーリンズはアメリカの南部に位置しており,アメリカ有数の治安が悪い都市である.しかし歓楽街や人が集まる大学周辺は夜でも問題なく,週末は名物のバーに通っていた.ただ,その他の地域は夜一人ではとても歩けるような雰囲気ではなかった.また,ニューオーリンズはパーティー好きの街らしく,金曜,土曜の夜はとにかく騒いでいた.通りがかった知らない家でもパーティーをやっていたら 一緒に騒いでしまうという国民性(ニューオーリンズだけかも知れないが)には驚いた.
あと,ビザ(J-1)の申請は早めに行っておくべきである.