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研究テーマ

コミュニケーション活動では,音声によって伝達されるパラ言語情報や身振り・手振りなどの非言語情報が言語情報とともに有効に利用されており、それらが円滑な会話を作り出しています。
しかし、従来の研究は、言語情報にもっぱら依存し、イントネーションやアクセント・声の大きさ・話す速度といったパラ言語情報や非言語情報を発話に付随するものとみなしてきました。教育現場の授業活動においても、「英語でプレゼンテーションをするときはアイコンタクトをする」などの断片的な指導は行われても、言語情報とパラ言語情報や非言語情報を結びつけた総合的な指導は十分には行われていないようです。
社会的要求の高まりから、英語学習者の実践的コミュニケーション能力の育成を図ることがますます求められるなか、コミュニケーションの全体像が捉えられなければ、「使える英語能力」の育成は困難です。このような状況の改善のために、従来の非言語情報やパラ言語情報の捉え方を再考し、円滑なコミュニケーション活動のメカニズムを解明するために、課題達成会話データを構築し、英語学習者がどのように共通基盤(グラウンディング)を成立させるのかを、共同注意という認知行為を手がかりに研究しています。


課題達成会話データの構築


課題遂行会話では,あらかじめ設定された最終目標や,そのために必要な中間目標を達成するために対話が進められます。このようなデータでは,いつ,どこで情報が共有されたかというグラウンディングの成立時点が,言語情報と作業状況から特定できます。つまり,相互行為プロセスの実態を,発話場面と関連付けて解明することが可能です。特に,母語話者の会話には見られない,英語学習者に特有の特徴を示すことができます。


グラウンディングと会話の修復


グラウンディングとは、対話者参与者が、発話の各時点で互いの知識が共有され、更新されたとみなす共同行為の過程をいいます。たとえば英語学習者は相手が説明に窮して表現を探索している場合に、発話をオーバーラップさせて積極的に対話を進めたり、逆に沈黙して理解できていないことを示すことで対話の修復を促したりして、グラウンディングを成立させることを指します。言い換えると、円滑な相互行為には言語情報だけではなく、相槌や発話の割り込み・発話の重なり・沈黙といったパラ言語情報も強く関わっているといえます。


共同注意と間主観性


共同注意は、グラウンディングを成立させる重要な要素です。話し手は“Could you give it to me?”のような指差し語や、“Oh, what a beautiful flower!”といったモノやコトを表象する語の連結、また、「Here comes the rain again!」のような現象文による注意喚起を行い、聞き手に注意を促すことがあります。そのような場合、一般的に、聞き手は話し手の発話を引き取り、意図を解釈して、反応します。このような自分の注意の対象に聞き手の注意を向け,その対象に対する自分の態度を相手と共有する行為を共同注意といいます。円滑なコミュニケーションには共同注意が不可欠で、私たちは共同注意の対象を話題の中心としながら話を展開していきます。共同注意と言語現象の関わりは、近年認知言語学で注目されている「言語の間主観性」(intersubjectivity)の研究へも貢献するものであり、間主観性に基づく会話の相互構築性といった指摘に対して、本課題達成会話は会話データの分析による実証的な調査を可能としている点で意義があります。

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プロフィール

立命館大学 情報理工学部 准教授

谷村緑 Midori Tanimura

 英語学習者を対象とした英語コミュニケーションに関わる研究を通して
英語教材や英語学習に応用する方法を提案しています。

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