人工衛星によるガンマ線観測

数十MeV以上のガンマ線の主な物質との相互作用は電子・陽電子対生成なので、衛星軌道でガンマ線を直接観測するにはこの過程を利用します。すなわち、検出器内で入射ガンマ線を電子・陽電子対に変え、それらの飛跡とエネルギーを測定します。

左図は検出器の概念図です。入射ガンマ線は上部で電子・陽電子対となり、その飛跡をトラッカーでとらえ、エネルギーをカロリメータで測定します。飛跡からガンマ線の到来方向が分かります。ガンマ線の入射を知るためには、トリガーで検出され、アンタイコインシデンスで検出されないという条件をつけ、ガンマ線観測の雑音となる荷電粒子事象を排除します。


1991年に打ち上げられたコンプトンガンマ線天文台衛星により、数百〜十GeV天体ガンマ線の理解は飛躍的に進歩しました。現在、2006年に打ち上げられたイタリアのアジレ衛星、および2008年に打ち上げられたNASAのフェルミガンマ線宇宙望遠鏡(左図)が活躍しており、さらなる発展が期待されています。


* コンプトンガンマ線天文台衛星(CGRO)

* アジレ(AGILE)ガンマ線衛星ホームページ

* フェルミ(Fermi)ガンマ線宇宙望遠鏡ホームページ


Masaki Mori
Last update: April 21, 2009